1980年11月1日、シンガーソングライターの五十嵐浩晃が発売した「ペガサスの朝」。明治製菓(現・明治)の明治チョコレートのCMソングに起用され、爽やかに伸びる歌声と印象的なメロディーで多くの人の記憶に残るヒット曲となった。作詞はちあき哲也、作曲は五十嵐浩晃、編曲は鈴木茂。オリコン週間ランキングでは最高3位を記録した。
発売から46年を迎えた2026年現在も、辰巳ゆうとや越山元貴によるカバー、JOYSOUNDでのカラオケ配信などを通じて親しまれている。この曲の魅力は、単に懐かしい1980年代のヒットソングという点だけではない。実は、五十嵐が20歳のころに生まれたメロディーが、プロの作詞家による歌詞の再構成とテレビCMとの出会いを経て、世代を超える作品へと成長したという背景がある。
【作品の基本情報】ペガサスの朝の発売日・作詞・作曲・編曲を整理
「ペガサスの朝」は、五十嵐浩晃にとって3枚目のシングルとして発売された楽曲だ。
デビュー曲「愛は風まかせ」、続く「ミルク・レディ」に続く作品であり、五十嵐の音楽活動を大きく前進させた代表曲として知られている。
発売日と楽曲の基本データ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | ペガサスの朝 |
| 歌手 | 五十嵐浩晃 |
| 発売日 | 1980年11月1日 |
| 作詞 | ちあき哲也 |
| 作曲 | 五十嵐浩晃 |
| 編曲 | 鈴木茂 |
| レコード会社 | CBS・ソニー |
| シングル | 五十嵐浩晃の3枚目 |
| CMタイアップ | 明治製菓・明治チョコレート |
| オリコン最高順位 | 3位 |
| B面 | 冬子の朝 |
この作品で注目したいのは、作曲者と作詞者が異なる点だ。
五十嵐浩晃は自らメロディーを生み出すシンガーソングライターであり、ちあき哲也は数々の歌謡曲やポップスを手がけた作詞家である。そこに、はっぴいえんどのメンバーとしても知られる鈴木茂が編曲で参加した。
それぞれの専門性が組み合わさったことが、作品の完成度を高めた要素の一つになっている。
【制作背景】ペガサスの朝は五十嵐浩晃が20歳のときに生み出した曲だった
この曲の誕生には、五十嵐浩晃本人が後年のインタビューで明かした興味深いエピソードがある。
2017年のSmartFLASHのインタビューによると、楽曲の原型が生まれたのは、五十嵐が20歳だったころだ。
真駒内の競技場で生まれたメロディー
五十嵐は当時、男女4人で札幌の真駒内にある競技場へ遊びに出かけていた。
天気のよい日、友人たちと過ごす時間の楽しさや、若いころならではの開放感のなかで、ふとメロディーと歌詞の断片が浮かんだという。
それが後の「ペガサスの朝」の原型となった。
興味深いのは、最初から現在のタイトルだったわけではないことだ。
アマチュア時代の楽曲には、Aメロの歌詞をそのまま使った長い仮タイトルが付けられていた。五十嵐自身が書いた歌詞で、ライブではアンコールの定番曲になっていたという。
本人は、明るい青春の情景を表現した楽曲として、この曲に強い自信を持っていた。
ちあき哲也が歌詞を書き直した理由
転機になったのは、明治チョコレートのCMソングへの起用だった。
もともと五十嵐が作っていた楽曲にCMタイアップの話が持ち上がり、作品として発売するにあたって歌詞をちあき哲也が書き直すことになった。
つまり、メロディーの原型は五十嵐の若いころの感性から生まれ、最終的な歌詞はプロの作詞家によって整えられたのである。
五十嵐はインタビューで、当時の自分が愛唱していた「手のひらを太陽に」のイメージも、楽曲の下地になっていたと振り返っている。
このエピソードから見えてくるのは、作品が最初から完成された状態で存在していたわけではないということだ。
個人的な青春の記憶から生まれたメロディーが、広告との出会いをきっかけに、より幅広い人々に届くポップソングへと変化していった。
編曲を担当した鈴木茂の存在
編曲を担当した鈴木茂も、この作品を語るうえで欠かせない人物だ。
鈴木は、はっぴいえんどのギタリストとして知られ、日本のポップスやロックの発展に大きな影響を与えたミュージシャンである。
五十嵐はリットーミュージックのインタビューで、鈴木の仕事を通じて音楽的な刺激を受けたことや、大滝詠一との交流についても語っている。
五十嵐の伸びやかな歌声、ちあき哲也の言葉、鈴木茂の編曲。この3者の組み合わせが、楽曲の爽快感を形作った。
【歌詞の意味】恋愛なのか友情なのか?ペガサスの翼に込められたメッセージ
「ペガサスの朝」の歌詞を読み解くうえで、最も印象的なのは、男女の関係が明確な恋愛として描かれていないことだ。
一般的なラブソングであれば、好きな相手への告白や、恋人として結ばれることが物語の中心になる。しかし、この曲では少し異なる関係性が表現されている。
恋愛と友情の境界にある二人
歌詞の主人公は、相手に特別な感情を抱いているように読み取れる。
一緒に過ごした時間や、偶然の出会いを大切にしながらも、二人の関係を単純な恋愛として定義しようとはしない。
ここに、この作品ならではの魅力がある。
好きだからこそ関係を変えたくない。恋人になることだけが幸せではなく、友人としてそばにいることにも意味がある。
そんな微妙な心の距離が、爽やかな言葉で表現されている。
恋愛の始まりを描いた曲というよりも、相手との出会いによって自分の世界が広がっていく青春の歌として捉えると、作品の印象がさらに深まる。
ペガサスの翼は何を象徴しているのか
タイトルに使われているペガサスは、ギリシャ神話に登場する翼を持つ馬として知られている。
この楽曲では、時間が翼を持つ存在として表現され、夢を背負って未来へ羽ばたいていくイメージにつながっている。
ここには、過去に経験した痛みや迷いを乗り越え、前へ進もうとする気持ちが重ねられている。
また、朝日や日の出を連想させる言葉が繰り返されることで、楽曲全体に新しい一日の始まりという印象が生まれている。
タイトルの「朝」は単なる時間帯ではない。
新しい出会い、未来への期待、人生を前向きに歩き始める瞬間を象徴する言葉として機能している。
なぜ聴くと爽やかな気持ちになるのか
歌詞には、青春の熱量と穏やかな優しさが同居している。
激しい失恋や一方的な愛情を描くのではなく、相手との出会いを肯定し、今を生きる喜びを表現しているからだ。
そこに五十嵐の透明感のある高音と、軽やかに進むメロディーが重なる。
聴き終えたあとに残るのは、悲しみよりも明るさや希望に近い感情である。
このバランスこそが、発売から長い年月がたっても楽曲が古びにくい理由の一つだ。
【ヒットの理由】明治チョコレートのCMからオリコン3位までの軌跡
「ペガサスの朝」のヒットを語る際、明治チョコレートのCMとの関係は外せない。
1980年当時、テレビCMは新しい楽曲や歌手を全国に広める重要な媒体だった。
特に食品メーカーのCMは、日常生活のなかで繰り返し視聴されるため、楽曲の認知度を高める力があった。
CMで流れた歌声が注目を集めた
明治製菓の明治チョコレートのCMで楽曲のサビが流れると、視聴者の間で歌声への関心が高まったと伝えられている。
当時の紹介記事では、歌っている人物や曲名について、明治製菓に問い合わせが相次いだことも取り上げられている。
五十嵐の歌声には、突き抜けるような高音と、耳に残る明るさがあった。
映像の爽やかな雰囲気と楽曲のイメージが自然に重なり、CMを通じて曲そのものへの関心が広がっていった。
発売直後はすぐに大ヒットしたわけではない
意外に知られていないのが、発売直後から爆発的に売れたわけではないという点だ。
リットーミュージックに掲載された五十嵐本人のインタビューによると、1980年11月1日の発売後、本人はラジオ番組への出演や全国キャンペーンを積極的に行っていた。
しかし、年内はランキング50位前後で伸び悩んでいたという。
五十嵐はタモリの「オールナイトニッポン」や文化放送、TBSなどでの活動を振り返り、当時の苦労を語っている。
状況が大きく変わったのは、年が明けてからだった。
ザ・ベストテン出演がブレイクの転機に
TBS系の音楽番組「ザ・ベストテン」への出演をきっかけに、楽曲の順位は大きく上昇した。
SmartFLASHが掲載した当時の記録によると、1981年2月12日に初めてランキング入りし、初登場は7位だった。
その後、最高5位まで上昇し、8週連続でランクインしている。
オリコン週間ランキングの最高順位は3位。売上については、SmartFLASHの紹介では42.9万枚とされている。
ここで注意したいのは、オリコンとザ・ベストテンは別々のランキングだということだ。
| 指標 | 記録 |
|---|---|
| 発売日 | 1980年11月1日 |
| ザ・ベストテン初登場 | 1981年2月12日 |
| ザ・ベストテン初登場順位 | 7位 |
| ザ・ベストテン最高順位 | 5位 |
| ザ・ベストテン連続ランクイン | 8週 |
| オリコン週間最高順位 | 3位 |
| 紹介されている売上 | 約42.9万枚 |
この数字から分かるのは、CMで認知され、ラジオやテレビで繰り返し聴かれ、音楽番組への出演を経て大きなヒットへ成長したという流れだ。
ヒットを生んだ3つの要素
「ペガサスの朝」がヒットした理由は、大きく3つに整理できる。
1つ目はCMとの相性のよさ。
明るい映像や商品のイメージに合う爽快なメロディーが、楽曲の認知拡大につながった。
2つ目は歌声の個性。
五十嵐の伸びやかなハイトーンボイスは、短いCMのなかでも印象を残しやすかった。
3つ目はテレビ音楽番組による再認知。
CMで知った人が、音楽番組で歌手本人を目にすることで、楽曲への関心をさらに深める機会が生まれた。
広告と音楽番組という異なるメディアの相乗効果が、ヒットを後押ししたのである。
【関係者と関連作品】五十嵐浩晃・ちあき哲也・鈴木茂の関係
この作品の背景を理解するには、関係する人物やメディアを整理すると分かりやすい。
| 人物・作品 | 関係 | 役割・特徴 |
|---|---|---|
| 五十嵐浩晃 | 歌手・作曲 | メロディーを制作し、楽曲を歌唱 |
| ちあき哲也 | 作詞 | CM起用に際して歌詞を再構成 |
| 鈴木茂 | 編曲 | 楽曲のサウンドを構成 |
| 明治製菓 | CMタイアップ | 明治チョコレートのCMに起用 |
| ザ・ベストテン | 音楽番組 | 1981年にランキング入り |
| 辰巳ゆうと | カバー歌手 | 2019年発売のファーストアルバムに収録 |
| 越山元貴 | カバー歌手 | 2013年発売のカバーアルバムに収録 |
| JOYSOUND | カラオケ | オリジナル版を配信 |
五十嵐浩晃と音楽業界のつながり
五十嵐は1957年に北海道で生まれ、1979年に第1回CBS・ソニーSDオーディションに合格した。
1980年に「愛は風まかせ」でデビューし、その後「ペガサスの朝」のヒットによって全国的な知名度を獲得する。
また、大滝詠一との交流も知られている。
リットーミュージックのインタビューでは、大滝のアルバム『A LONG VACATION』に収録された「FUN×4」にコーラスで参加したエピソードも紹介されている。
鈴木茂をはじめとする音楽家とのつながりが、五十嵐の音楽活動に豊かな経験をもたらしていたこともうかがえる。
【カバー曲とカラオケ】辰巳ゆうと・越山元貴も歌い継ぐ名曲
「ペガサスの朝」は、五十嵐浩晃のオリジナル版だけでなく、別の歌手によるカバーでも親しまれている。
特に注目したいのが、辰巳ゆうとと越山元貴による作品だ。
辰巳ゆうとは2019年にカバー
演歌歌手の辰巳ゆうとは、2019年12月25日に発売したファーストアルバム『力いっぱい、歌いました!』に「ペガサスの朝」を収録した。
このアルバムは、演歌・歌謡曲盤とポップス・ニューミュージック盤の2枚組構成。
「ペガサスの朝」は、DISC2のポップス・ニューミュージック盤に収録されている。
原曲の作詞・作曲者はそのまま引き継ぎ、編曲は阿部靖広が担当した。
演歌歌手がニューミュージックの名曲を取り上げたことで、原曲とは異なる歌唱表現を楽しめる作品になっている。
越山元貴は2013年にカバーアルバムへ収録
もう一人の注目アーティストが、北海道出身の越山元貴だ。
越山は2013年1月23日発売のカバーアルバム『I'm A 北海道MAN』に「ペガサスの朝」を収録した。
このアルバムは、北海道出身アーティストの楽曲や北海道にゆかりのある作品を中心に構成されたカバー作品だ。
松山千春、中島みゆき、安全地帯などの楽曲と並んで「ペガサスの朝」が収録されている。
五十嵐自身も北海道出身であることを考えると、この選曲には土地の音楽文化という共通点も感じられる。
JOYSOUNDで歌える?配信状況と曲番号
カラオケで歌いたい人にとっても、うれしい情報がある。
JOYSOUNDの公式楽曲検索ページでは、五十嵐浩晃の「ペガサスの朝」が配信曲として掲載されている。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 曲名 | ペガサスの朝 |
| 歌手名 | 五十嵐浩晃 |
| 曲番号 | 681 |
| 配信状況 | 配信済み |
| 対応機種 | JOYSOUND X1、MAX GO、MAX2、MAXなど |
家庭用サービスでも対応機種・サービスが案内されており、JOYSOUND for Nintendo SwitchやSteamなどでも楽しめる。
カラオケで上手に歌うポイント
この曲は爽やかな印象とは裏腹に、実際に歌うとリズムの取り方が難しい部分もある。
SmartFLASHのインタビューで五十嵐本人が紹介した歌唱アドバイスでは、全体的にビブラートを控えることがポイントとして挙げられている。
特に意識したいのは次の3点だ。
- Aメロ: 言葉を急がず、歌詞の流れを丁寧に表現する。
- サビ前: 音程の動きを意識し、滑らかにつなぐ。
- サビ: 伸びやかな声で、楽曲の明るさを前面に出す。
原曲の魅力は、過度に技巧を見せることよりも、自然な歌声で爽快感を伝えるところにある。
【よくある質問】ペガサスの朝に関するFAQ
Q1:ペガサスの朝はいつ発売されましたか?
A1:1980年11月1日です。五十嵐浩晃の3枚目のシングルとして、CBS・ソニーから発売されました。
Q2:ペガサスの朝の作詞・作曲・編曲は誰ですか?
A2:作詞はちあき哲也、作曲は五十嵐浩晃、編曲は鈴木茂です。
Q3:ペガサスの朝は何のCMに使われましたか?
A3:明治製菓の明治チョコレートのCMソングに起用されました。CMで流れた歌声が話題となり、歌手や曲名への関心が高まりました。
Q4:ペガサスの朝のオリコン最高順位は何位ですか?
A4:オリコン週間ランキングで最高3位を記録しています。ザ・ベストテンでは最高5位となり、8週連続でランクインしました。
Q5:ペガサスの朝をカバーした歌手は誰ですか?
A5:辰巳ゆうとや越山元貴がカバーしています。辰巳ゆうとは2019年のファーストアルバム、越山元貴は2013年の『I'm A 北海道MAN』に収録しています。
Q6:ペガサスの朝はJOYSOUNDで歌えますか?
A6:歌えます。JOYSOUNDの楽曲検索に掲載されており、曲番号は681です。
まとめ:ペガサスの朝が46年後も歌い継がれる理由
五十嵐浩晃の「ペガサスの朝」は、1980年11月1日に発売されたシングルであり、明治チョコレートのCMをきっかけに全国的なヒットを記録した作品だ。
しかし、その誕生の背景をたどると、単なるCMソングという説明だけでは語り尽くせない魅力が見えてくる。
20歳の五十嵐が友人たちと過ごした青春の時間から生まれたメロディー。それをちあき哲也が歌詞として再構成し、鈴木茂が編曲によって仕上げた。
加えて、明治チョコレートのCM、ラジオ、テレビの音楽番組が重なり、オリコン最高3位という大ヒットにつながった。
歌詞に描かれているのは、恋愛だけでは説明できない人とのつながりや、過去を乗り越えて未来へ進む気持ちだ。
辰巳ゆうとや越山元貴によるカバー、JOYSOUNDでの配信も、その魅力が後の世代に引き継がれていることを示している。
「ペガサスの朝」の本当の魅力は、懐かしさだけではなく、聴くたびに新しい朝を迎えるような前向きな感覚を与えてくれることにある。
発売から46年を経た2026年も、五十嵐浩晃の代表曲として、その爽やかな歌声とメロディーは色あせていない。
主な情報照合先: リットーミュージック掲載の五十嵐浩晃本人インタビュー、光文社SmartFLASHのインタビュー、Yahoo! JAPAN掲載の楽曲紹介、ソニーミュージック、ビクターエンタテインメント、辰巳ゆうと公式ディスコグラフィー、JOYSOUND公式楽曲情報。