2026年の茨城県南部の地震を理解するうえで、まず押さえておきたいのが3回の発生記録だ。
気象庁の報道発表資料を比較すると、マグニチュードは4月のM5.0から6月のM5.5、8月のM5.9へと大きくなっている。ただし、3回の地震が一連の活動として直接つながっていると判断できるわけではない。
2026年の震度5弱を観測した3回の地震
出典:気象庁の2026年4月1日、6月16日、8月23日の各報道発表資料。震源の深さは発表値。
4月1日10時06分:M5.0、深さ48km
最初の地震は4月1日午前10時06分に発生した。
震源は茨城県南部、マグニチュードは5.0、深さは48km。最大震度5弱を観測したのは栃木県真岡市だった。
この地震では、東北地方から中部地方にかけて震度4から1の揺れが観測された。
気象庁によると、発生後の10時45分時点では、震度1以上の地震は確認されていない。長周期地震動階級1以上の観測地域もなかった。
津波の心配はないと発表されている。
6月16日19時46分:M5.5、深さ50km
2回目は6月16日午後7時46分。
マグニチュード5.5、震源の深さ50kmで、最大震度5弱を観測した。
特に注目したいのは、震度5弱の観測地点が茨城県内ではなく、群馬県と埼玉県に集中したことだ。
- 群馬県:太田市、千代田町
- 埼玉県:加須市、本庄市、美里町
このほか東北地方から近畿地方にかけて震度4から1の揺れが観測された。
発生後の21時10分時点では、震度2の地震が1回確認されている。長周期地震動階級1は茨城県南部、群馬県南部、埼玉県北部で観測された。
こちらも津波の心配はなかった。
8月23日02時00分:M5.9、深さ68km
2026年の3回のうち、最も規模が大きかったのが8月23日の地震だ。
午前2時00分、茨城県南部を震源とするM5.9の地震が発生。気象庁は当初約70kmとしていた震源の深さを、解析の更新により68kmとした。
最大震度5弱を観測したのは、次の17市区町村だ。
- 茨城県(10市): 小美玉市、古河市、龍ケ崎市、下妻市、常総市、取手市、牛久市、つくば市、筑西市、つくばみらい市
- 埼玉県(4市町): 川口市、蕨市、戸田市、宮代町
- 千葉県(2市): 浦安市、印西市
- 東京都(1区): 足立区
関東地方を中心に広い範囲で揺れが観測され、震度4の地域も複数の県に及んだ。
加えて、埼玉県南部、千葉県北西部、東京都23区では長周期地震動階級2を観測した。
気象庁はこの地震についても津波の心配はないと発表している。発生後の03時30分時点では、震度1以上の地震は確認されていなかった。
3回の記録から読み取れる要点
ここで見落とせないのは、震源地の名称と実際に強く揺れた場所は必ずしも一致しないということだ。
4月は栃木県真岡市、6月は群馬県・埼玉県、8月は茨城県を中心に関東の広い地域で震度5弱を観測した。
つまり、「茨城県南部の地震だから茨城県だけを警戒すればよい」という理解は正しくない。
地震の揺れは震源の位置、深さ、地盤の性質などによって変わる。自宅が震源地から離れていても、強い揺れが発生する可能性がある。
【発生原因を解説】なぜ茨城県南部で地震が繰り返されるのか
茨城県南部で地震活動が活発になる背景には、関東地方の複雑な地下構造がある。
日本列島の周辺には複数のプレートが存在し、関東地方の地下では太平洋プレートやフィリピン海プレートが沈み込んでいる。
地震調査研究推進本部が公表している茨城県の地震活動の特徴でも、県南西部の深さ30~50km程度の場所や、50~70km程度の深い場所では、地震活動が定常的に活発であると説明されている。
逆断層型の地震とは?
8月23日の地震について、気象庁は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型と発表した。
逆断層型とは、地下の岩盤に圧縮する力が加わり、断層の一方が他方に対して乗り上げるように動くタイプの地震だ。
8月23日の地震は、太平洋プレートとフィリピン海プレートの境界で発生したとされる。
一方、6月16日の地震は、北北西から南南東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、フィリピン海プレートと陸のプレートの境界で発生したと気象庁は説明している。
4月1日の地震についても、北北西から南南東方向に圧力軸を持つ発震機構が報告された。
3回の地震は同じ原因なのか
ここは慎重に区別する必要がある。
| 比較項目 | 4月1日 | 6月16日 | 8月23日 |
|---|---|---|---|
| 発震機構 | 圧力軸を持つ型 | 逆断層型 | 逆断層型 |
| 圧力軸 | 北北西-南南東 | 北北西-南南東 | 東西方向 |
| 発生場所 | 茨城県南部 | 茨城県南部 | 茨城県南部 |
| プレート境界の説明 | 詳細な確定説明なし | フィリピン海・陸のプレート境界 | 太平洋・フィリピン海プレート境界 |
3回とも同じ震源地域の名称が付いているが、発震機構やプレート境界についての説明は異なる。
したがって、3回すべてが同じ断層の連続的な活動だった、あるいは4月の地震が8月の地震を直接引き起こしたと断定することはできない。
重要なのは、関東地方の地下が複数のプレートの沈み込みによって複雑な構造になっている点だ。地震調査研究推進本部も、茨城県南西部の比較的深い領域で継続的な地震活動があることを指摘している。
【専門的な視点】M5.9でも震源が68kmと深い理由
8月23日の地震では、震源の深さが68kmと発表された。
一般に、震源が浅い地震では震源付近で強い揺れになりやすい。ただし、実際の震度はマグニチュードと震源の深さだけでは決まらない。
地震波が伝わる経路や地盤の特性、観測地点との位置関係なども影響する。
そのため、震源が比較的深いからといって、広い範囲で強い揺れが発生しないとは限らない。
【長周期地震動と観測データ】8月23日の揺れで注目された2つの記録
8月23日の地震で注目されたのが、長周期地震動階級2と、防災科学技術研究所による強震観測データだ。
長周期地震動階級2とは?
長周期地震動は、比較的ゆっくりとした周期の長い揺れを指す。
特に高層ビルでは、地上付近よりも高層階で揺れが大きくなったり、長く続いたりすることがある。
気象庁は長周期地震動を4段階に分類している。
8月23日の地震では、次の地域で階級2が観測された。
- 埼玉県南部
- 千葉県北西部
- 東京都23区
階級2は、室内で物につかまりたいと感じたり、家具や什器が移動したりすることがあるレベルだ。
震度5弱とは別の指標であり、一般的な震度だけでは把握しにくい高層階の揺れを評価するために用いられる。
高層マンションやオフィスビルにいる場合、地上の震度が比較的小さくても、上層階では揺れを強く感じる可能性がある。
防災科学技術研究所のK-NET・KiK-netが捉えた地震動
防災科研が公開した8月23日の強震動解析によると、K-NETで268地点、KiK-netで191地点、合計459地点の強震記録が公開された。
特に注目されるのが、K-NET茂木観測点で記録された最大加速度だ。
この250galは、観測された地震加速度の値であり、震度そのものではない。
震度は人が感じる揺れや被害の程度を表す指標で、加速度は地震動の物理的な強さを示すデータだ。両者を混同しないことが重要だ。
こうした観測データは、地震波がどのように伝わったか、地域によって揺れ方がどう違ったかを分析するうえで役立つ。
【余震の可能性と最新状況】11月4日時点で何に注意すべきか
震度5弱を観測した地震の後に、多くの人が気にするのが「もう一度大きな地震が来るのか」という点だ。
気象庁は大きな地震の後の活動について、過去の事例を踏まえた注意喚起を行っている。
気象庁が示した1週間の注意期間
4月1日、6月16日、8月23日の各地震について、気象庁は共通して次のような見通しを発表した。
- 地震発生から1週間程度は、最大震度5弱程度の地震に注意する。
- 特に発生後2~3日程度は、規模の大きな地震が発生することが多い。
- 揺れの強かった地域では、落石や崖崩れなどにも注意する。
その根拠として、気象庁は過去の事例で、大きな地震の後に同程度の地震が発生した割合が1~2割あることを示している。
ただし、これは個別の地震について発生確率を1~2割と予測したものではない。過去の事例に基づく一般的な説明だ。
また、地震の発生日時や規模を高い精度で予測することは、現在の科学ではできない。
8月23日以降も茨城県南部では地震が発生している
8月23日のM5.9で活動が完全に終わったわけではない。
日本気象協会の地震履歴を確認すると、8月以降も茨城県南部を震源とする地震が記録されている。
主なものは次のとおりだ。
| 発生日 | マグニチュード | 最大震度 |
|---|---|---|
| 8月26日 | M3.4 | 2 |
| 9月17日 | M4.8 | 3 |
| 9月22日 | M3.9 | 3 |
| 9月29日 | M4.9 | 4 |
| 10月2日 | M3.9 | 2 |
特に注目したいのは、9月29日のM4.9、最大震度4の地震だ。
8月23日の地震から約5週間後にも、同じ震源地域で比較的大きな揺れが観測されたことになる。
また、10月2日にはM3.9、最大震度2の地震が記録されている。
11月4日時点で確認できる茨城県南部を震源とする地震履歴では、10月2日の記録が直近に掲載されている。
ここで大切なのは、これらをすべて8月23日の余震と断定しないことだ。同じ震源地域で発生したという事実と、特定の地震に直接関連する余震であるという判断は別物である。
現状を判断する際は、過去の震度5弱だけでなく、その後の地震活動と最新の気象庁発表を併せて見る必要がある。
今後、再び震度5弱が発生する可能性は?
可能性を完全に否定することはできない。
茨城県南部は、もともと比較的深い場所でも地震活動が活発な地域だ。2026年の3回の震度5弱も、その地震活動の特徴を考えるうえで重要な記録となった。
しかし、2026年に3回発生したという事実だけから、今後も同じ頻度で震度5弱が起きると予測することはできない。
注意したいのは、次の3点だ。
1. 過去に震度5弱を観測した地域だけでなく、周辺の自治体も警戒する。
2. 地震発生後の1週間という注意期間が過ぎても、日常的な防災対策を継続する。
3. 気象庁の地震情報で震源、震度、地震活動の推移を確認する。
【緊急地震速報と津波情報】実際に何が発表されたのか
地震発生時に重要な情報となるのが、緊急地震速報と津波に関する情報だ。
緊急地震速報は発表された?
2026年の3回の地震では、発表状況に違いがある。
気象庁の緊急地震速報(警報)の公表記録では、6月16日と8月23日の地震について発表が確認できる。
8月23日の地震では、地震波の検知後、複数回の震源推定が更新され、第3報で最大震度5強程度を予測する情報が示された。
最終的な観測最大震度は5弱だった。
このように緊急地震速報は、地震発生直後の限られたデータから震源や規模を推定するため、発表後に予測内容が更新されることがある。
4月1日の地震については、同じ警報発表一覧に掲載されていない。警報が発表されたと確認できる6月・8月の事例と区別して考える必要がある。
茨城県南部の地震で津波の心配はあった?
4月1日、6月16日、8月23日のいずれも、気象庁は津波の心配はないと発表している。
今回の3回は茨城県南部の内陸寄りの地震であり、海底の大規模な変動によって津波が発生するタイプの地震とは異なる。
ただし、これは今後のすべての地震で津波が発生しないという意味ではない。
茨城県は太平洋に面しているため、沿岸地域では別の地震による津波にも備える必要がある。
強い揺れを感じた場合や津波警報・注意報が発表された場合は、海岸や河口付近から離れ、自治体の避難情報に従うことが大切だ。
【実践的な防災対策】茨城県南部の地震に備えて今すぐ確認したいこと
震度5弱程度の地震では、家具や家電が移動したり、食器類が落下したりする可能性がある。
また、強い揺れの後は、建物の損傷や屋外の落下物などにも注意しなければならない。
1. 家具・家電の転倒防止
最初に確認したいのが、室内の安全だ。
- 背の高い家具を壁に固定する。
- テレビや電子レンジなどを耐震器具で固定する。
- 寝室の枕元に重い物を置かない。
- 食器棚の扉に開放防止器具を設置する。
- 避難経路となる通路に物を置かない。
特に寝室は、就寝中に地震が発生した場合の危険を減らすため、家具の配置を優先的に見直したい。
2. 水・食料・トイレを備蓄する
地震の後は、停電や断水、物流の遅れが起きる可能性がある。
最低限、次の用品を確認しておきたい。
| 備蓄品 | 確認するポイント |
|---|---|
| 飲料水 | 1人1日3Lを目安に確保 |
| 食料 | 最低3日分、可能なら1週間分 |
| 携帯トイレ | 断水時にも使える数量 |
| 懐中電灯 | 電池・充電状態を確認 |
| モバイルバッテリー | 充電残量を維持 |
| 常備薬・衛生用品 | 家族の必要量を確保 |
水や食料は、普段使うものを買い足しながら備蓄するローリングストック方式が取り入れやすい。
3. 避難場所と家族の連絡方法を確認する
地震の発生時に家族が同じ場所にいるとは限らない。
学校、職場、自宅など、それぞれの場所から避難する場合を考えておく必要がある。
特に確認したいのは次の項目だ。
- 自宅から最寄りの指定避難所までの経路
- 洪水・土砂災害の危険がある場所
- 家族が別々の場所にいる場合の集合場所
- 災害用伝言ダイヤル171の使い方
- 高齢者や小さな子どもがいる家庭の避難方法
茨城県内では、市町村ごとに防災情報やハザードマップが公開されている。自宅の周辺だけでなく、通勤・通学経路も確認しておきたい。
4. 揺れた直後の行動を知っておく
地震が発生したときは、まず自分の身を守ることが優先だ。
- 揺れている間は、頭を守り、丈夫な机の下などで身を守る。
- 窓ガラスや倒れそうな家具から離れる。
- 揺れが収まってから火元や室内の状況を確認する。
- 避難するときは、靴を履いて落下物やガラス片から足を守る。
- エレベーターに閉じ込められる危険を避け、避難時は階段を利用する。
また、地震後に雨が降った場合は、揺れで地盤が緩んでいる可能性も考慮し、崖や斜面の近くに近づかないようにしたい。
【プロの結論】2026年の茨城地震から見える本当に重要な防災の考え方
2026年の茨城県南部の地震で注目すべきなのは、単に震度5弱が3回発生したという回数ではない。
4月、6月、8月の3回を比較すると、同じ震源地域の地震でも、強い揺れを観測する場所は大きく異なっていた。
4月は栃木県真岡市、6月は群馬県と埼玉県、8月は茨城県を中心とする17市区町村だった。
この違いは、地震への備えを震源地周辺だけに限定してはいけないことを示している。
判断基準1:震度とマグニチュードを混同しない
マグニチュードは地震そのものの規模を示し、震度は各地点での揺れの強さを示す。
M5.9だから必ず震度6になるわけではない。また、同じ地震でも地域によって震度は異なる。
ニュースを見るときは、マグニチュードだけでなく、自分の住む地域の震度情報を確認したい。
判断基準2:同じ震源地域の地震をすべて余震と考えない
茨城県南部では、2026年8月以降も複数の地震が発生している。
しかし、同じ震源地域で発生したからといって、必ずしもすべてが8月23日の地震に直接関連するわけではない。
地震の関連性を判断するには、震源の位置、深さ、発震機構、地震活動の推移などを総合的に見る必要がある。
判断基準3:過去の注意期間と現在の警戒情報を区別する
8月23日の地震直後に発表された「1週間程度の注意」は、発生直後の防災上の呼びかけだった。
11月4日現在、その期間はすでに経過している。
だからといって、今後の地震活動がなくなるわけではない。最新の発表を確認しながら、普段から備えることが現実的な対応となる。
茨城県南部の地震に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年に茨城県南部で震度5弱を観測したのは何回ですか?
2026年は4月1日、6月16日、8月23日の計3回です。最大規模は8月23日のM5.9で、震源の深さは68kmでした。
Q2:8月23日の地震で震度5弱を観測した茨城県の市町村はどこですか?
小美玉市、古河市、龍ケ崎市、下妻市、常総市、取手市、牛久市、つくば市、筑西市、つくばみらい市の10市です。
Q3:2026年の3回の地震で津波は発生しましたか?
3回とも気象庁は津波の心配はないと発表しています。ただし、茨城県沿岸では別の地震による津波への備えが必要です。
Q4:茨城県南部では今後も震度5弱の地震が起きますか?
発生する可能性を否定することはできません。ただし、具体的な発生日時や規模を予測することは現在の科学では困難です。最新の気象庁発表を確認してください。
Q5:長周期地震動階級2は震度5弱と同じ意味ですか?
違います。震度は地表付近などでの揺れの強さを示し、長周期地震動階級は主に高層ビル内での長周期の揺れによる影響を評価する指標です。
Q6:緊急地震速報は8月23日に発表されましたか?
はい。気象庁は8月23日02時00分の地震について緊急地震速報(警報)を発表しています。
まとめ:茨城県南部の地震は最新情報と日頃の備えが重要
2026年の茨城県南部では、4月1日にM5.0、6月16日にM5.5、8月23日にM5.9の地震が発生し、いずれも最大震度5弱を観測した。
特に8月23日の地震では、震源の深さ68km、17市区町村で震度5弱、さらに3地域で長周期地震動階級2が観測された。
その後も9月29日のM4.9など、同じ震源地域で地震活動が記録されている。
今後の地震について、必要以上に不安を感じる必要はないが、過去の地震が終わったからといって防災対策を緩めることも避けたい。
確認すべき情報は、気象庁の最新地震情報、緊急地震速報、自治体の防災情報の3つだ。
そして、家具の固定、水や食料の備蓄、避難場所の確認を日常生活に組み込んでおくことが、突然の地震から自分と家族を守るための確かな備えになる。
2026年の茨城県南部の地震が示した教訓は、地震は震源地だけの問題ではなく、広域で備えるべき災害だということだ。
主な参考資料:気象庁「令和8年4月1日・6月16日・8月23日の茨城県南部の地震について」、気象庁「大地震後の地震活動(余震等)について」、地震調査研究推進本部「茨城県の地震活動の特徴」、防災科学技術研究所「2026年8月23日 茨城県南部の地震による強震動」、日本気象協会の地震履歴。