箱根駅伝の繰り上げスタートは、先頭チームから何分遅れると実施されるのでしょうか。第102回東京箱根間往復大学駅伝競走(2026年)の競技実施要項によると、基準は往路の鶴見・戸塚中継所が10分、平塚・小田原中継所が15分、復路の全中継所が20分です。基準時間を超えて遅れた場合、前の走者が到着する前に次の走者が出発します。
繰り上げスタートでは、通常の大学独自のたすきではなく、黄色と白色のストライプのたすきを使用するのも特徴です。ただし、5区と10区には例外があります。また、繰り上げスタートは失格や途中棄権とは異なり、総合順位にも独自の記録上の扱いがあります。
【まず結論】箱根駅伝の繰り上げスタートは何分遅れで実施される?
箱根駅伝の繰り上げスタートは、各中継所で先頭走者が通過してから一定時間が経過し、後続チームが基準を超えて遅れた場合に実施されます。
第102回大会の競技実施要項では、往路と復路で異なる時間が設定されています。重要なのは、直前の大学との時間差ではなく、その中継所を通過した先頭走者との時間差が基準になることです。
往路は10分と15分の2段階
1月2日に行われる往路では、4か所の中継所で基準が分かれています。
- 鶴見中継所:先頭通過から10分
- 戸塚中継所:先頭通過から10分
- 平塚中継所:先頭通過から15分
- 小田原中継所:先頭通過から15分
つまり、1区から2区へのたすきリレーが行われる鶴見と、2区から3区へつなぐ戸塚では10分が目安です。一方、3区から4区へつなぐ平塚と、4区から5区へつなぐ小田原では15分となります。
復路はすべての中継所で20分
1月3日の復路は、往路と異なり、すべての中継所で先頭走者の通過から20分が基準です。
対象となるのは、小田原・平塚・戸塚・鶴見の4か所です。例えば、先頭チームが鶴見中継所を12時00分に通過した場合、20分後の12時20分が繰り上げ出発の基準となります。
なお、競技実施要項の正式な表現は「繰り上げ出発」です。また、基準時間に達した瞬間に機械的に処理されるという単純な仕組みではなく、中継所審判員主任の裁定によって次の走者を出発させます。
【なぜ繰り上げる?】箱根駅伝でたすきを待たずに出発させる理由
繰り上げスタートの最大の理由は、長時間にわたる交通規制と車両の混雑を考慮し、大会を安全かつ円滑に運営するためです。
箱根駅伝は東京都大手町から神奈川県箱根町までを往復する大規模な公道レースです。多くの競技関係車両や報道車両が走り、沿道では一般車両や地域住民の交通にも配慮しなければなりません。
後続チームが大幅に遅れた場合、すべての大学が前走者の到着を待つ方式では、中継所の運営や交通整理に大きな影響が生じます。
この点について、関東学生陸上競技連盟の第102回競技実施要項には、繰り上げ出発の理由として次の記載があります。
「車両の混雑が予想されるため」
そのため、各中継所では一定の時間を超えて遅れたチームに対し、前走者の到着を待たずに次の走者を出発させる仕組みが採用されています。
なぜ往路は10分・15分、復路は20分なのか
往路と復路で基準時間が異なるのは、第102回大会の競技実施要項で、それぞれの中継所に異なる制限時間が設定されているためです。
往路では前半の鶴見・戸塚が10分、後半の平塚・小田原が15分。復路は4か所すべてが20分です。
ただし、10分・15分・20分という数字の細かな設定理由について、競技実施要項は個別の中継所ごとの交通事情を説明しているわけではありません。時間の違いを独自の距離計算や選手の実力差だけで説明するのは正確ではありません。
【中継所別の早見表】往路10分・15分、復路20分のルールを比較
第102回箱根駅伝の繰り上げスタート基準を一覧にすると、次のようになります。
| 区分 | 中継所・区間 | 先頭通過からの基準 | たすきリレー |
|---|---|---|---|
| 往路 | 鶴見(1区→2区) | 10分 | 繰り上げ対象 |
| 往路 | 戸塚(2区→3区) | 10分 | 繰り上げ対象 |
| 往路 | 平塚(3区→4区) | 15分 | 繰り上げ対象 |
| 往路 | 小田原(4区→5区) | 15分 | 5区は各大学独自のたすき |
| 復路 | 小田原(6区→7区) | 20分 | 繰り上げ対象 |
| 復路 | 平塚(7区→8区) | 20分 | 繰り上げ対象 |
| 復路 | 戸塚(8区→9区) | 20分 | 繰り上げ対象 |
| 復路 | 鶴見(9区→10区) | 20分 | 10区は各大学独自のたすき |
この表で押さえておきたいのは、往路と復路では同じ中継所でも基準時間が違うことです。
例えば、鶴見中継所は往路では10分ですが、復路では20分です。戸塚も同様に、往路10分、復路20分となります。
テレビ観戦では「鶴見は10分」「鶴見は20分」といった情報が混在しやすいため、必ず往路なのか復路なのかを確認してください。
【黄色と白色のストライプ】繰り上げたすきの色と5区・10区の例外
箱根駅伝の繰り上げスタートで特徴的なのが、黄色と白色のストライプが入った専用のたすきです。
通常、各大学は大学名や校章などが入った独自のたすきを使用します。しかし、前走者からたすきを受け取れずに繰り上げ出発する場合、主催者が用意した黄色と白色のストライプのたすきを使用します。
大学の伝統やチームの象徴でもあるたすきを直接つなげないことは、選手や関係者にとって非常に悔しい場面です。観戦する側にとっても、通常とは違う色のたすきは繰り上げ出発を見分ける目印になります。
5区と10区は大学独自のたすきを使用
ただし、すべての繰り上げスタートで黄色と白色のストライプのたすきを使うわけではありません。
第102回の競技実施要項には、5区と10区は各チーム独自のたすきを使用するという例外が明記されています。
5区は小田原から箱根・芦ノ湖へ向かう往路最後の区間、10区は鶴見から東京・大手町へ向かう復路最後の区間です。どちらもその日の最終区間にあたります。
そのため、小田原で繰り上げになった場合でも5区の選手は大学独自のたすきを使用し、鶴見で繰り上げになった場合も10区の選手は大学独自のたすきを使用します。
途中棄権したチームのたすきも同じ色になる?
途中棄権したチームについても、次の区間からは主催者が用意した黄色と白色のストライプのたすきを使用します。ただし、10区だけは各チーム独自のたすきです。
つまり、繰り上げスタートと途中棄権は発生する理由こそ異なりますが、次の区間で使用するたすきには共通点があります。
【総合順位への影響】繰り上げスタートになると失格?2026年大会の実例
繰り上げスタートになったからといって、その大学が失格になるわけではありません。競技を続けることができ、各区間の記録も大会規定に従って扱われます。
ただし、繰り上げによって通常のたすきリレーができなくなるため、チームの総合タイムや順位を確認する際には注意が必要です。
繰り上げだけで一律20分のペナルティーが加算されるわけではない
繰り上げスタートは、一定の時間を超えて遅れたチームを次の区間へ進めるための競技運営上の規定です。繰り上げになったことだけを理由に、総合タイムへ一律20分が追加されたり、順位が自動的に下げられたりする制度ではありません。
一方、前走者の到着が繰り上げ時刻を過ぎた場合、その超過時間はチームの総合記録に関係します。したがって、最終走者のゴール時刻や区間順位だけでチームの総合順位を判断することはできません。
最終的な順位は、往路・復路の公式記録と総合タイムに基づいて決定されます。
第102回大会では復路の鶴見中継所で2校が繰り上げ
2026年1月3日の第102回大会では、復路の9区から10区につなぐ鶴見中継所で、今大会初の繰り上げスタートが発生しました。
対象となったのは、立教大学と大東文化大学の2校です。
先頭の青山学院大学が鶴見中継所を通過したのは12時11分27秒。そこから20分後の12時31分27秒が繰り上げ出発の基準時刻でした。
立教大学の公式大会報告によると、9区の走者は制限時間に47秒届かず、10区へのたすきリレーができませんでした。それでも最終10区の選手は出発し、東京・大手町のゴールを目指しました。
スポーツニッポンの2026年1月3日の報道でも、立教大学と大東文化大学の2校が鶴見で繰り上げスタートになったことが伝えられています。
最終結果では、大東文化大学が総合19位、立教大学が総合20位となりました。立教大学は復路単独では18位を記録しています。
この結果からも分かるように、繰り上げスタートになったからといって競技が終了するわけではありません。残る区間を走り切り、総合順位を争うことができます。
【混同しやすい3つの制度】復路一斉スタート・途中棄権との違い
箱根駅伝では、繰り上げスタート以外にも「復路一斉スタート」や「途中棄権」という言葉が登場します。いずれも通常のたすきリレーとは異なる状況ですが、意味はそれぞれ違います。
復路一斉スタートは往路のタイム差を調整する仕組み
復路一斉スタートは、1月3日の6区が始まる芦ノ湖で行われるスタート方式です。
第102回大会のルールでは、往路1位のチームのフィニッシュから10分以内にゴールしたチームは、往路のタイム差に応じて時差スタートします。
一方、10分以内にゴールできなかったチームは、往路1位のチームが出発した10分後に一斉スタートします。
つまり、復路一斉スタートは、往路の順位とタイム差を踏まえたスタート方式であり、中継所で前走者が到着しないまま次の走者を出発させる繰り上げスタートとは別の制度です。
なお、一斉スタートになったからといって、往路で生じたタイム差が消滅するわけではありません。総合順位を判断する際は、公式記録を確認する必要があります。
途中棄権は故障や疾病などによって競技を続けられなくなること
途中棄権は、選手が故障や疾病などで走行困難となり、競技を続けられなくなった場合に発生します。
第102回の競技実施要項では、競技者が歩行、立ち止まり、横臥などの状態になった場合、運営管理車に乗務する競技運営委員、走路管理員、監督またはコーチの三者の合意によって競技を中止させる規定があります。
競技中止は、競技運営委員が赤旗を掲げて選手に通告します。
途中棄権した場合、その区間より前の記録は公式に認められます。次の区間からは最終走者と同時に再スタートできますが、オープン参加となり、区間成績は認められません。
3つの制度の違いを整理
- 繰り上げスタート:先頭との時間差が規定を超え、前走者を待たずに次の走者が出発する。
- 復路一斉スタート:往路のタイム差が10分を超えたチームが、復路の開始時に同時出発する。
- 途中棄権:故障や疾病などで競技を続けられず、次の区間からオープン参加となる。
特に注意したいのは、復路一斉スタートと繰り上げスタートの違いです。復路一斉スタートは大会開始時に予定された出発方式であり、繰り上げスタートはレース途中の中継所で発生する措置です。
【箱根駅伝の繰り上げスタート】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:箱根駅伝の繰り上げスタートは何分遅れで行われますか?
A1:第102回大会では、往路の鶴見・戸塚中継所が先頭通過から10分、平塚・小田原中継所が15分、復路の全中継所が20分です。各中継所の審判員主任の裁定によって実施されます。
Q2:繰り上げスタートで使われるたすきは何色ですか?
A2:基本的には主催者が用意する黄色と白色のストライプのたすきです。ただし、5区と10区は各大学独自のたすきを使用します。
Q3:繰り上げスタートになると失格になり、総合順位もなくなりますか?
A3:いいえ。繰り上げスタートになっても競技を続けることができ、最終的な総合順位も決まります。途中棄権とは異なり、繰り上げそのものが失格を意味するわけではありません。
まとめ:箱根駅伝の繰り上げスタートは時間・たすき・順位の3点が重要
箱根駅伝の繰り上げスタートは、単に先頭から遅れた大学を失格にする制度ではありません。交通の混雑や大会運営を考慮し、レースを円滑に進めるための重要なルールです。
第102回(2026年)の基準は、往路の鶴見・戸塚が10分、平塚・小田原が15分、復路の全中継所が20分でした。
また、繰り上げ時には黄色と白色のストライプのたすきを使用しますが、5区と10区には大学独自のたすきを使用する例外があります。
2026年大会では、復路9区から10区への鶴見中継所で立教大学と大東文化大学が繰り上げスタートとなりました。それでも両校は最後まで走り切り、それぞれ総合20位、19位で大会を終えています。
箱根駅伝を観戦する際は、①中継所ごとの制限時間、②黄色と白色のたすきの意味、③復路一斉スタートや途中棄権との違い、という3点を押さえておくと、繰り上げスタートが持つ意味をより深く理解できます。
次回大会を観戦するときも、単に先頭との時間差を見るだけでなく、どの中継所で何分の基準が適用されるのかに注目してみてください。
主な確認資料: 関東学生陸上競技連盟「第102回東京箱根間往復大学駅伝競走 競技実施要項」「競技注意事項」、東京箱根間往復大学駅伝競走公式記録、立教大学の2026年1月3日大会報告、スポーツニッポンの大会報道。