藤岡弘、は仮面ライダー1号・本郷猛、佐々木剛は仮面ライダー2号・一文字隼人を演じた。2人は単純な主演交代の前後を担っただけではない。それぞれ異なる個性を持ち込み、後世の仮面ライダーシリーズにつながる演出や表現を生み出した。
【1号・2号の俳優】藤岡弘、と佐々木剛のプロフィール
藤岡弘、が演じた本郷猛とは?
本郷猛は、城南大学の生化学研究所に籍を置く大学生であり、優れた能力を持つオートレーサーという設定だ。
秘密結社ショッカーに誘拐され、改造人間にされてしまうものの、脳改造の直前に脱出。自らの力を人類の平和のために使うことを決意する。
藤岡弘、は1965年に松竹映画でデビュー。1971年の『仮面ライダー』出演によって全国的な知名度を獲得した。
その後も映画『日本沈没』『野獣死すべし』『大空のサムライ』などで主演を務め、1984年にはハリウッド映画『SFソードキル』に出演。アクション俳優として国際的にも活動した。
所属事務所のプロフィールでは、スタントに頼らず自らアクションをこなしてきた経歴も紹介されている。
本郷猛という役柄に説得力を与えたのは、藤岡自身の身体能力とアクションへの取り組みだった。
佐々木剛が演じた一文字隼人とは?
一文字隼人は、フリーカメラマンとして登場する青年。陽気で社交的な性格で、本郷とは対照的な魅力を持つキャラクターだ。
東映公式の仮面ライダー図鑑によると、一文字は柔道6段、空手5段という武道の腕前を持つ設定。ショッカーに改造されたものの、本郷によって脳改造前に救出され、仮面ライダー2号として戦い始める。
演じた佐々木剛は、1970年のテレビドラマ『柔道一直線』などで活躍していた俳優だった。
藤岡の負傷によって急きょ出演することになったが、一文字隼人の明るく親しみやすい人物像は、作品の新しい魅力となった。
【交代劇の真相】藤岡弘、の負傷と第13話・第14話の経緯
初代仮面ライダーの主役交代は、制作上の都合だけで決まったものではない。
きっかけは、藤岡弘、が撮影中に遭遇した重大なバイク事故だった。
撮影中のバイク事故で大腿骨に重傷
藤岡は撮影中のオートバイ事故で左足に深刻なけがを負った。
本人が2017年にデイリースポーツのコラムで振り返ったところによると、大腿骨に骨片が生じ、骨の内部に金属の芯を通して固定する大がかりな治療を受けたという。
当時の撮影現場では、藤岡自身が仮面ライダーのスーツを着用し、アクションやバイクシーンにも取り組んでいた。
そのため、主演俳優の長期離脱は番組制作にとって重大な問題だった。
第13話で本郷猛が海外へ、第14話で一文字隼人が登場
ここで重要なのが、第13話と第14話の違いだ。
東映公式の作品ガイドによれば、第13話を境に物語上の主役交代が行われ、第14話から一文字隼人が登場する。
当時の視聴者にとって、突然主人公がいなくなる展開は大きな変化だった。しかし、番組は本郷猛がショッカーのヨーロッパ支部と戦うため、日本を離れるというストーリーを用意した。
つまり、現実の負傷を作品内の海外任務という設定に置き換えたのである。
藤岡本人の回想によると、第9話・第10話は撮影の一部が済んでいたため出演場面が残り、声は吹き替えで対応した。また、第11話から第13話では本郷のバイク走行シーンなどの保存映像を活用し、変身後の場面を増やして番組を継続した。
佐々木剛への交代はどのように決まったのか
佐々木剛が一文字隼人役に起用された背景には、藤岡との関係もあった。
2人は劇団NLT俳優教室の同期。佐々木は2022年のENCOUNTのインタビューで、当時は別のドラマとの掛け持ちで多忙だったものの、プロデューサーの平山亨との縁もあり出演を引き受けたと明かしている。
加えて、佐々木は藤岡が復帰したら主役の座を返すという条件を提示していた。
同インタビューでは、人気が高まっていたにもかかわらず降板した理由について、藤岡が始めた番組だからこそ看板を返したかったという趣旨を語っている。
この証言から分かるのは、交代が単純な出演者同士の競争ではなかったということだ。
【年代別キャスト一覧】初代仮面ライダーの主要出演者と役柄
初代『仮面ライダー』には、1号・2号以外にも作品を支えた俳優が多数出演している。
東映公式の作品ガイドと仮面ライダー図鑑に掲載されている主要出演者を整理した。
| 俳優名 | 役名 | 作品での役割 |
|---|---|---|
| 藤岡弘、 | 本郷猛/1号 | 初代主人公 |
| 佐々木剛 | 一文字隼人/2号 | 2代目主人公 |
| 小林昭二 | 立花藤兵衛 | ライダーを支える指導者 |
| 千葉治郎 | 滝和也 | FBI特命捜査官 |
| 真樹千恵子 | 緑川ルリ子 | 本郷を支えるヒロイン |
| 島田陽子 | 野原ひろみ | ルリ子の友人 |
| 宮口二郎 | ゾル大佐 | ショッカー大幹部 |
| 天本英世 | 死神博士 | ショッカー大幹部 |
| 潮健児 | 地獄大使 | ショッカー大幹部 |
| 丹波又三郎 | ブラック将軍 | ゲルショッカー大幹部 |
小林昭二が演じた立花藤兵衛
立花藤兵衛は、単なる協力者ではない。
本郷猛のバイクトレーナーとして登場し、後には立花レーシングクラブの会長としてライダーたちを支援する。
本郷と一文字の双方を受け入れる存在であり、主演交代後も作品の世界観を安定させる重要な人物だった。
小林昭二の存在があったからこそ、主人公が変わっても物語の人間関係が途切れずに続いた。
千葉治郎が演じた滝和也
滝和也は、改造人間ではない普通の人間でありながら、ショッカーの戦闘員と互角に戦う能力を持つ。
第11話で初登場し、第13話ではFBI特命捜査官という正体を明らかにする。
仮面ライダーがいない場面でも戦いを成立させる人物であり、作品のアクション面を支えた重要な存在だ。
石ノ森章太郎が生み出した作品の世界観
東映公式の作品情報では、原作は石ノ森章太郎、制作は東映と毎日放送とされている。
初代作品は1971年4月3日から1973年2月10日まで放送され、全98話で完結した。
単純な勧善懲悪だけではなく、望まない改造を受けた人間が、それでも正義のために戦うという葛藤を描いた点が、作品の大きな特徴だ。
【第40話・第41話・第53話】藤岡弘、復帰までの真相
藤岡弘、は事故後、すぐに完全復帰できたわけではない。
治療とリハビリを続けながら、段階的に番組へ戻っていった。
第40話・第41話でダブルライダーが実現
1972年1月放送の第40話「死斗!怪人スノーマン対二人のライダー」と第41話「マグマ怪人ゴースター桜島大決戦」は、1号と2号が初めて本格的に共演する重要なエピソードだ。
本郷猛が一時帰国し、一文字隼人とともに戦う展開は、後に定番となるダブルライダーの原点となった。
藤岡は負傷後、金属の固定具が残った状態で復帰撮影に臨んだとテレビ朝日系のインタビュー記事で紹介されている。主治医からも慎重な判断を求められるほどの状況だったという。
第53話で本郷猛が本格復帰
第53話のタイトルは「怪人ジャガーマン 決死のオートバイ戦」。
このエピソードでは、南米へ向かう一文字隼人に代わり、本郷猛が再び日本を守ることになる。
東映公式の作品ガイドでも、第53話を本郷猛の本格復帰の節目として紹介している。
ここで注目したいのは、単に藤岡が戻っただけではなく、仮面ライダー1号のデザインも新たな段階に進んだことだ。
いわゆる「新1号」の登場によって、作品のビジュアル面でも新しい時代が始まった。
主役交代から復帰までの時系列
| 時期 | 出来事 | 意味 |
|---|---|---|
| 1971年4月3日 | 第1話放送 | 藤岡弘、が本郷猛として主演 |
| 撮影中 | 藤岡がバイク事故で負傷 | 大腿骨に重傷 |
| 第11~13話 | 保存映像などを活用 | 主演不在を補う |
| 1971年6月26日 | 第13話放送 | 本郷がヨーロッパへ向かう展開 |
| 1971年7月3日 | 第14話放送 | 佐々木剛が一文字隼人として登場 |
| 1972年1月 | 第40・41話 | 1号・2号が初共演 |
| 1972年4月1日 | 第53話 | 本郷猛が本格復帰 |
| 1973年2月10日 | 最終第98話 | 第1作が完結 |
【2026年現在】藤岡弘、と佐々木剛の活動は?
55周年を迎えた2026年、初代仮面ライダーの2人は、それぞれ異なる形で活動を続けている。
藤岡弘、は俳優・武道家として幅広く活躍
藤岡弘、は仮面ライダー出演後も、映画、テレビドラマ、CM、講演など幅広い分野で活動してきた。
近年の代表的な仕事には、次のようなものがある。
- 2016年:映画『仮面ライダー1号』で本郷猛を演じる。
- 2023年:NHK大河ドラマ『どうする家康』で織田信秀役を担当。
- 2024年:芸能生活60周年。
- 2026年1月:洋服の青山の新CMに出演。
- 2026年4月:テレビ番組『LEGEND~よみがえる三重の偉人列伝』の放送開始。
- 2026年4月:ニッポン放送のラジオ番組『保険クリニックPresents 藤岡弘、家族で語ろう』がスタート。
所属事務所の公式プロフィールには、2026年の出演情報も掲載されている。
また、2016年の映画では藤岡自身が企画から参加し、45年ぶりに本郷猛が単独主演として復活した。仮面ライダーという役を長年大切にしていることが分かる仕事だ。
佐々木剛は居酒屋「バッタもん」を拠点に活動
佐々木剛の現在を語るうえで欠かせないのが、東京都板橋区大山東町にある居酒屋「バッタもん」だ。
2022年のENCOUNTのインタビューでは、佐々木自身が店を経営していることや、俳優業についての考えを明かしている。
特に注目したいのは、俳優を引退したわけではないという本人の説明だ。
「今まで1度も俳優を引退したと言ったことはありません。」
佐々木は1982年の自宅火災で全身に重いやけどを負い、一時は俳優活動から離れることになった。その後、友人の石橋正次らの支援を受け、1991年に舞台で俳優復帰を果たした。
加えて、2024年のデイリースポーツのインタビューでは、怪獣プロレスへの参加など、俳優としての活動についても紹介されている。
2026年4月17日には、俳優・金子吉延の公式サイトにも佐々木の店を訪問した記録が掲載された。佐々木が店で料理を作っていた様子が紹介されており、現在も店を通じてファンとの交流を続けていることがうかがえる。
2026年は仮面ライダー生誕55周年
2026年は1971年の放送開始から55周年にあたる。
2026年4月には、記念企画として第40話・第41話の4Kリマスター版がテレビ放送・配信され、1号と2号の初共演エピソードが改めて取り上げられた。
また、4Kリマスター版の映像ソフト展開も進み、当時の映像を高画質で楽しめる機会が広がっている。
55年という時間を経ても、藤岡弘、と佐々木剛が演じた2人のライダーが特別な存在として扱われていることは、作品の歴史的な影響力を示している。
【よくある誤解】初代仮面ライダーの俳優交代で知っておきたいこと
主役交代をめぐっては、現在でも誤解されやすいポイントがある。
誤解1:藤岡弘、は第14話から完全に出演していない?
これは正確ではない。
第14話から一文字隼人が登場した後も、本郷猛は海外で活動している設定で物語に存在し続けた。
第40・41話では藤岡が復帰し、一文字と共演している。第53話で本格的に主演へ戻ったというのが正しい経緯だ。
誤解2:佐々木剛は藤岡弘、の代役にすぎなかった?
これも不十分な理解だ。
佐々木が演じた一文字隼人は、独自のキャラクター性を持つ2代目主人公だった。
佐々木の明るい演技と変身ポーズは、作品の人気を支え、仮面ライダーシリーズの基本的な演出にも影響を与えた。
誤解3:変身ポーズは最初から存在した?
実は、初期の1号は現在よく知られる変身ポーズとは異なる方法で変身していた。
初期の仮面ライダー1号は、バイクで走行しながらベルトの風車に風圧を受けて変身する設定だった。
一方、第14話で登場した2号は、両腕を大きく動かして「変身!」と叫ぶポーズを採用した。
東映公式の作品ガイドも、この変身ポーズが2号から始まったことを紹介している。
なお、藤岡は佐々木がバイク免許を持っていなかったことがポーズ導入の背景にあったと説明している。一方、佐々木は2024年の取材で、免許はなかったもののバイクを運転すること自体はできたと明かした。
つまり「免許がなかったからバイクに乗れなかった」という単純な説明では、当時の制作事情を十分に表せない。
【プロの結論】初代仮面ライダーの魅力は2人の主人公が築いた歴史にある
初代仮面ライダーの俳優を調べるとき、藤岡弘、だけを知っていれば十分というわけではない。
藤岡が演じた本郷猛は、シリーズの原点となるヒーロー像を確立した。
一方、佐々木剛が演じた一文字隼人は、作品の存続を支えただけでなく、変身ポーズというシリーズを象徴する表現を生み出した。
そして第40・41話のダブルライダー、第53話での本郷復帰という流れが、2人の存在を一層特別なものにした。
作品を深く楽しむための要点は、次の3つだ。
- 初期の仮面ライダーを知りたい人: 第1話から第13話までを見て、本郷猛の原点を確認する。
- 変身ブームの背景を知りたい人: 第14話から第39話までを見て、一文字隼人の活躍を追う。
- 1号と2号の関係を楽しみたい人: 第40・41話と第53話を見比べ、共闘と主役復帰の意味を確かめる。
単に主演が交代したという出来事ではなく、作品が新しい表現を獲得していく過程として見ると、初代仮面ライダーの面白さはさらに深まる。
【初代仮面ライダーの俳優】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:初代仮面ライダー1号を演じた俳優は誰ですか?
A1:藤岡弘、です。役名は本郷猛で、1971年の第1話から主演を務めました。
Q2:初代仮面ライダー2号を演じた俳優は誰ですか?
A2:佐々木剛です。一文字隼人役として第14話から登場しました。
Q3:藤岡弘、が降板した理由は何ですか?
A3:撮影中のバイク事故で左足の大腿骨に重傷を負い、長期療養が必要になったためです。
Q4:第13話と第14話で何が変わったのですか?
A4:第13話で本郷猛がヨーロッパへ向かう展開となり、第14話から一文字隼人が仮面ライダー2号として登場しました。
Q5:藤岡弘、は何話で復帰しましたか?
A5:第40話・第41話で一時的に復帰し、第53話から本格的に主演へ戻りました。
Q6:佐々木剛は2026年現在も俳優ですか?
A6:本人は過去のインタビューで俳優を引退していないと説明しています。現在は東京都板橋区の居酒屋「バッタもん」を拠点に、ファンとの交流などを続けています。
Q7:初代仮面ライダーの放送期間と話数は?
A7:1971年4月3日から1973年2月10日まで、全98話が放送されました。
まとめ:初代仮面ライダーを支えた藤岡弘、と佐々木剛
初代『仮面ライダー』の俳優は、1号・本郷猛役の藤岡弘、と2号・一文字隼人役の佐々木剛が中心となる。
藤岡の撮影中の負傷によって生まれた主役交代は、結果として2号ライダーと変身ポーズという新しい魅力を作品にもたらした。
第53話で本郷が本格復帰した後も、2人の共演は作品の重要な見どころとして残り続けた。
2026年の55周年を迎えた今も、初代ライダーの物語は4Kリマスターなどを通じて新しい世代に受け継がれている。
藤岡弘、と佐々木剛。2人の俳優がそれぞれの形で築いたヒーロー像こそ、初代仮面ライダーが半世紀以上にわたって愛される理由の一つである。