大相撲の昭和末期から平成初期にかけて、強烈な突き押しと気迫溢れる取組で「大ちゃん」の愛称で絶大な人気を誇った名大関・朝潮太郎こと、7代高砂親方(本名:長岡末弘氏)。現役時代は数々の名勝負を生み出し、引退後も名門・高砂部屋の師匠として横綱・朝青龍や大関・朝乃山をはじめとするトップ力士を育て上げた角界の功労者として知られています。
しかし、インターネットの検索エンジンやSNS上では、なぜか「クズ」という強い言葉を伴って検索されるケースが後を絶ちません。このネガティブな評判の背景には、2021年に発覚した新型コロナウイルス感染防止ガイドライン違反をはじめとする、高砂部屋を揺るがせた一連の不祥事や騒動が存在します。本記事では、当時の報道や公式発表の客観的なデータをもとに、批判の真相や角界における実績の光と影を徹底的に検証します。
昭和から平成の角界を沸かせた名大関「朝潮」の圧倒的な実績
元朝潮親方(長岡末弘氏)が「クズ」といった過激なワードで検索される現状を検証する前に、まずは彼が日本相撲界に残した類まれな実績と足跡を正しく振り返る必要があります。現役時代の朝潮は、高砂部屋に所属し、その圧倒的な押し相撲と粘り強い取り口で「大ちゃん」の愛称で多くの相撲ファンの心を掴みました。
最高位は大関まで昇進し、幕内優勝こそ逃したものの、横綱を幾度となく破る「横綱キラー」として、また昭和50年代から60年代の土俵を盛り上げた看板力士の一人として歴史に名を刻んでいます。引退後は年寄「高砂」を襲名し、名門・高砂部屋の師匠として多くの弟子を指導。特に、後に第68代横綱となる朝青龍明徳を厳しくも愛情深く育て上げ、相撲界の頂点へと押し上げた手腕は高く評価されました。
加えて、近年では大関・朝乃山英樹など、令和の土俵を牽引する実力派力士を輩出しており、指導者としての実績そのものは角界屈指のものです。こうした華やかなキャリアがあるからこそ、後年の不祥事や世論の批判とのギャップが大きくクローズアップされる要因となっています。
ネットで「クズ」と検索される最大の引き金:2021年ガイドライン違反騒動の真相
では、なぜこれほどの功績を持つ元朝潮親方に対して、一部のネット上で「クズ」や「無責任」といった批判的なラベリングがなされるようになったのでしょうか。その決定的な発端となったのは、2021年5月に発覚した日本相撲協会の新型コロナウイルス感染防止ガイドライン違反問題です。
当時、日本国内は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、政府や自治体、そして日本相撲協会自身も厳格な外出制限や感染防止ガイドラインを敷いていました。相撲界においても、クラスター発生を防ぐため、力士や部屋関係者の不要不急の外出、特に飲食店への外出すら厳しく禁じられていた時期です。
しかし、報道各社の取材や協会の調査により、当時の高砂親方(長岡末弘氏)が師匠を務める高砂部屋において、感染防止ガイドラインに反する不適切な外出や行動があったことが発覚しました。角界全体が感染対策に神経を尖らせ、本場所の無観客開催や厳戒態勢を敷く中で起きたこの不祥事は、ファンや関係者に大きな衝撃を与え、コンプライアンス意識の欠如ではないかと強い批判を浴びることになりました。
日本相撲協会の処分実績と高砂部屋を巡る一連の経緯
2021年のガイドライン違反発覚後、日本相撲協会はコンプライアンス委員会の答申等を踏まえ、厳正な処分を下しました。当時の処分内容や一連の出来事を時系列の表で整理します。
| 時期・日時 | 発生した出来事 | 公式発表・真相の検証 |
|---|---|---|
| 1980年代〜1990年代 | 現役時代から引退・親方襲名へ | 大関として活躍後、高砂部屋を継承。横綱・朝青龍らを育成し指導者として実績を重ねる。 |
| 2021年5月 | 新型コロナウイルス感染防止ガイドライン違反の発覚 | 相撲協会のコロナ対策期間中における不適切な外出が判明し、社会的な批判が集中。 |
| 2021年(処分決定時) | 日本相撲協会による処分と役職辞任 | コンプライアンス違反に基づき、日本相撲協会から処分を下され、高砂部屋の師匠職を退く。 |
相撲協会における師匠の立場は、単なる技術指導者ではなく、所属する力士たちの生活全般や健康管理、コンプライアンスを徹底させるべき絶大な権限と責任を持つ存在です。そのため、部屋の管理下でガイドライン違反が生じたことに対する責任は重く、結果として親方としての信頼が揺らぐ大きな転換点となりました。
指導者としての功績とガバナンス責任の狭間で起きた摩擦
元朝潮親方を巡る評価が二分する背景には、旧来の相撲界の気風と、現代社会におけるコンプライアンスや組織ガバナンスとの間に生じた大きな意識のギャップがあります。
昭和・平成の相撲界では、厳格な上下関係と師弟関係を重視するいわば「昭和のスパルタ式・家族主義」的な運営が主流であり、個々の部屋の裁量に委ねられる部分が多くありました。朝潮親方自身も、そうした伝統的な環境の中で叩き上げられ、厳しくも情に厚い指導スタイルで部屋を引っ張ってきた経歴を持ちます。
しかし、2020年以降のコロナ禍という未曽有の危機においては、個人の裁量や従来の気風よりも、社会全体のルールの遵守や組織としての厳格な感染管理が絶対的な優先事項となりました。この環境変化に対応しきれず、あるいは組織の引き締めにおいて綻びを見せてしまったことが、ネット上での過激なバッシングや「クズ」といったレッテル貼りに繋がってしまった側面は否定できません。
元朝潮親方の現在の状況と、角界のコンプライアンス変革
2021年の騒動を経て高砂部屋の師匠を退いた後、長岡末弘氏は角界の第一線から身を引き、表舞台に出る機会は大きく減少しました。しかし、彼が育て上げた弟子たちが現在の土俵で活躍している事実や、かつての名大関としての歴史が色褪せることはありません。
また、この一件を含め、日本相撲協会全体としても、不祥事を契機にコンプライアンス研修の徹底やSNS・外部接触に関するガイドラインの厳罰化を進めるなど、組織全体の体質改善と透明化に向けた改革が続けられています。一つの不祥事は組織の歴史に大きな汚点を残す一方で、角界全体が近代的なガバナンス組織へと脱皮するための重要な教訓として機能していると言えます。
【朝潮親方クズ】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:元朝潮親方がネットで「クズ」と検索されるのはなぜですか?
A1:主に2021年5月に発覚した、日本相撲協会の新型コロナウイルス感染防止ガイドラインに違反する外出問題が報じられたことが最大の引き金となっています。
Q2:2021年の騒動当時、どのような処分を受けたのですか?
A2:日本相撲協会のコンプライアンス委員会等の調査を経て処分が下され、高砂部屋の師匠職を辞任する事態となりました。
Q3:現役時代や指導者としての実績はどのようなものですか?
A3:現役時代は大関として活躍し「横綱キラー」と呼ばれたほか、指導者としても第68代横綱・朝青龍や大関・朝乃山などを育て上げた名伯楽として知られています。
まとめ:過去の功績と不祥事の事実をどう評価すべきか
元朝潮親方(長岡末弘氏)を巡る一連の騒動と批判は、個人の人間性や過去の偉大な実績と、組織のリーダーに求められる厳格なコンプライアンス責任との間で生じた大きな摩擦の結果と言えます。
インターネット上で見られる過激な批判的ワードにのみ囚われるのではなく、昭和から平成にかけて土俵を沸かせた名大関としての栄光、横綱・朝青龍らを輩出した指導力という「光」の側面と、2021年のガイドライン違反という「影」の事実の双方を客観的なデータと時系列に基づいて正しく理解することが、偏りのない真実を見極めるための確かな判断基準となります。