2026年8月30日、24時間テレビ49のチャリティーマラソンで、星野真里さんがゴールを目前にした午後8時33分ごろ、番組を批判するプラカードを持った男性が走行中のランナーの集団に乱入した。
日本テレビの中継映像では、星野さんが複数のサポートランナーに囲まれて走っているところに男性が接近。男性は奇声を発しながらプラカードを掲げたが、サポートランナーらに進路を遮られ、画面から姿を消した。
プラカードには、番組の寄付金着服問題などを批判する内容が記されていたという。
星野さんは走ることを止めず、その後、両国国技館で80キロを完走した。
乱入騒動に対する日本テレビの説明
騒動から約2週間後の2026年9月14日、日本テレビは定例社長会見でこの問題を取り上げた。
説明したのは、同局の岡部智洋取締役常務執行役員。沿道の人々、ランナー、関係者の安全を最優先にしてきたと説明し、今回も負傷者を出さずに警備できたとの認識を示した。
特に注目されたのは、来年の実施についての回答だ。
今回のことを受けて、来年以降もチャリティーマラソンをまだやるやらないは決めてはおりません。
日本テレビ側は、従来からランナーの前に警備を担うガードランナーを配置していたことも説明した。
つまり、2026年の時点でマラソンの廃止が決まったわけではない。一方、従来どおりの開催を確約したわけでもない。
2027年の第50回記念放送でマラソンは実施される?
2026年9月14日の会見では、福田博之社長が2027年の第50回放送に向けて準備を進めていると説明した。
ただし、これは番組全体の準備についての発言であり、マラソンの継続決定を意味しない。
2026年11月5日時点で整理すると、次のようになる。
- 2026年のマラソンは実施済み。
- 星野真里さんは80キロを完走。
- ゴール直前に乱入騒動が発生。
- 日本テレビは安全対策の継続・強化を説明。
- 2027年のマラソン実施は未決定。
今後の判断では、警備員の人数を増やすだけでなく、一般道路を使用する企画そのものが適切なのかという検討も必要になる。
【批判の理由】24時間テレビのマラソンはなぜ「やめろ」と言われるのか?
マラソンへの反対意見は、単なる番組嫌いや出演者への批判ではない。
大きく分けると、健康面、安全面、番組演出、チャリティーの信頼性という4つの問題がある。
1. 猛暑の中で長距離を走らせる必要があるのか
最も根本的な問題が、開催時期とランナーの健康リスクだ。
24時間テレビの放送は例年8月下旬に行われる。日本の夏は高温多湿で、日中だけでなく夜間も気温が下がりにくい日がある。
長時間のランニングでは、発汗による水分・電解質の喪失、体温上昇、疲労の蓄積などが問題になる。
特に注意したいのが、暑さ指数(WBGT)だ。
日本スポーツ協会の熱中症予防運動指針では、次の基準が示されている。
- WBGT31以上:特別な場合を除き、運動は原則中止。
- WBGT28以上31未満:激しい運動や持久走を避ける。
- WBGT25以上28未満:積極的に休憩し、水分・塩分を補給する。
これは一般的なスポーツ活動の指針であり、2026年の星野さんの走行地点で実際にどの数値が記録されたかを示すものではない。
しかし、長距離を走るチャリティーマラソンにとって、無視できない判断基準である。
また、マラソンプロデューサーとして長年番組に携わった坂本雄次氏も、2025年7月の取材で、近年の暑さを踏まえて開催時期を選ぶ必要性を指摘していた。
視聴者が求めているのは、ランナーが限界まで我慢する姿ではない。安全に完走できる環境が整っているかどうかだ。
2. 沿道の混雑と乱入による事故の危険性
今回の星野真里さんへの乱入騒動は、マラソンの安全管理に新たな課題を突きつけた。
公道を使用するマラソンでは、テレビ局が管理できる範囲に限界がある。
沿道には一般の通行人、応援する人、撮影者などが集まる。生放送という性質上、予測できない行動を完全に排除することも難しい。
仮にランナーが転倒したり、乱入者と接触したりすれば、本人だけでなく周囲の人にも危険が及ぶ。
警備体制を強化すれば解決するという単純な問題ではない。
- 観客とランナーの動線を分離できるか。
- 一般通行人の安全を確保できるか。
- 不測の事態に中継を中断できるか。
- 体調不良や事故が起きた際に速やかに救護できるか。
- 予定どおりの完走より安全を優先できるか。
これらを具体的に説明できなければ、視聴者の不安は解消しない。
3. 感動を演出するために長距離を走らせているのではないか
24時間テレビのマラソンは、単なるスポーツ中継ではない。
練習風景、ランナーの人生、挑戦する理由、家族や仲間の応援、そしてゴールという流れで構成される。
そのため、視聴者からは「チャリティーのための企画なのか、感動を生み出すためのテレビ演出なのか」という疑問が出てくる。
もちろん、挑戦する本人の意思や努力まで否定する必要はない。
問題は、走ることが寄付を集めるための必須条件になっているかのように見える点だ。
寄付は本来、支援したいという気持ちから生まれるものだ。出演者が長距離を走らなくても、福祉や災害復興、子ども支援に貢献する方法はある。
マラソンの感動と寄付の実効性を分けて評価する必要がある。
4. 寄付金着服問題によって番組への信頼が揺らいだ
もう一つの大きな要因が、2023年に発覚した日本海テレビの寄付金着服問題だ。
24時間テレビは長年、視聴者やボランティアの善意を基盤として募金活動を行ってきた。
その寄付金が着服されていたという事実は、番組の根幹に関わる問題だった。
この不祥事によって、マラソンで寄付を呼びかけること自体に疑問を持つ視聴者が増えた背景がある。
ただし、着服事件が発生したのは日本テレビ本社ではなく、系列局の日本海テレビジョン放送である。この点は区別して理解する必要がある。
【歴代ランナーと開始の経緯】1992年の間寛平から続く企画の変化
24時間テレビのチャリティーマラソンが始まったのは、1992年の第15回放送だ。
初代ランナーは、お笑いタレントの間寛平さんだった。
当時、番組の大幅なリニューアルが行われ、24時間を通して視聴者を引き込む生放送企画の一つとしてマラソンが導入された。
間寛平さんが長距離走に取り組んでいたことも、企画誕生の背景にある。
1992年の初回はなぜ完走できなかった?
初回の計画は、新潟から東京まで約200キロを走るという壮大なものだった。
しかし、走行コースが事前に公表されたことで沿道に観客が殺到。安全確保が難しくなり、間寛平さんは153キロ地点でリタイアした。
当時の放送では体調不良が理由として説明されたとされるが、歴史を振り返ると、沿道の混雑と安全管理が初回から大きな課題だったことが分かる。
翌1993年には再び間寛平さんが挑戦。コースを事前公表しない方法に変更し、200キロを完走した。
この経緯は、現在の乱入問題を考えるうえでも興味深い。
実は、マラソン企画は開始当初から、走る本人だけでなく沿道の人々の安全をどう守るかという課題を抱えていたのだ。
歴代ランナーの主な変遷
| 年 | ランナー・企画 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 1992年 | 間寛平 | 初回。200キロを予定し153キロで中止 |
| 1993年 | 間寛平 | 200キロを完走 |
| 1994年 | ダチョウ倶楽部 | グループでの挑戦 |
| 1995年 | 間寛平 | 1週間で600キロに挑戦 |
| 2001年 | 研ナオコ | 女性ランナーの挑戦 |
| 2006年 | アンガールズ | お笑いコンビによる挑戦 |
| 2009年 | イモトアヤコ | 126.585キロを走破 |
| 2011年 | 徳光和夫 | 当時70歳で63キロを完走 |
| 2012年 | 佐々木健介・北斗晶ファミリー | 家族でのリレー形式 |
| 2018年 | みやぞん | トライアスロン形式 |
| 2019年 | 近藤春菜・よしこ・水卜麻美・いとうあさこ | 4人による駅伝形式 |
| 2020年 | 高橋尚子らチームQ | 複数人による募金ラン |
| 2021年 | 岸優太ら | リレー形式 |
| 2023年 | ヒロミ | チャリティーマラソンに挑戦 |
| 2024年 | やす子 | 子ども支援を目的とした募金ラン |
| 2025年 | 横山裕 | 子ども支援募金と連動 |
| 2026年 | 星野真里 | 80キロを完走。子ども支援募金を展開 |
※歴代企画には、通常の単独マラソンだけでなく、リレー、駅伝、トライアスロンなども含まれる。
この一覧から分かるのは、24時間テレビのマラソンが必ずしも一人で一定距離を走る形式に固定されていないことだ。
時代や出演者に合わせて形式を変更してきた実績がある。
したがって、今後の選択肢も「従来どおり続ける」か「完全廃止する」かの二択ではない。
【募金額と寄付金着服問題】批判の裏側にある数字と実態
マラソン廃止論を考えるうえで、避けて通れないのが募金の実績だ。
2026年10月26日、公益社団法人24時間テレビチャリティー委員会は、第49回放送を中心とする寄付金の集計結果を発表した。
その金額は、15億5,436万6,256円だった。
ただし、これは2026年6月1日から9月30日までの4カ月間の集計であり、番組放送中だけに集まった金額ではない。また、最終確定額は2027年7月初旬に発表予定とされている。
2026年の募金額の内訳
| 募金の種類 | 金額 | 主な使途 |
|---|---|---|
| 一般募金 | 9億6,753万6,140円 | 福祉・環境・災害復興 |
| できた!を増やす子ども募金 | 4億1,224万6,566円 | 子どもたちへの支援 |
| いのちをつなぐ がん募金 | 8,492万3,055円 | がん研究・啓発・患者支援 |
| 熊本地震緊急募金 | 8,966万495円 | 熊本地震支援 |
| 合計 | 15億5,436万6,256円 | 各目的に応じた支援 |
特に注目したいのが、星野真里さんのマラソンと連動した「できた!を増やす子ども募金」だ。
集まった金額は4億1,224万6,566円。委員会は、この募金を星野さんの思いを形にする子ども支援に全額活用すると説明している。
マラソンが単なる番組上の演出ではなく、具体的な支援につながっている点は評価すべき材料だ。
2025年との比較で注意したいこと
2025年の第48回では、寄付金総額が20億1,332万6,946円に達した。
これは2025年6月1日から2026年5月31日までの集計で、歴代1位の金額だった。
一方、2026年の15億5,436万円は4カ月間の集計である。
集計期間が異なるため、2025年より募金が減ったと単純に判断することはできない。
また、2026年の寄付金累計額は49年間で484億8,494万1,009円と報告されている。ただし、こちらも最終確定前の数字だ。
2023年に発覚した寄付金着服事件とは?
2023年11月、日本テレビ系列の日本海テレビで、元経営戦略局長による着服が発覚した。
日本海テレビの発表によると、2014年以降に着服された金額は合計1,118万2,575円。
その内訳は次のとおりだった。
- 24時間テレビの寄付金:264万6,020円
- 会社の売上金など:853万6,555円
元幹部社員は2023年11月27日付で懲戒解雇され、警察への被害届も提出された。
重要なのは、寄付金だけでなく、会社資金も長期間にわたって着服されていた点だ。
この事件によって、視聴者が寄付金の管理体制そのものに疑問を持つようになった。
日本テレビは再発防止策を実施したのか?
2024年2月1日、日本テレビと24時間テレビチャリティー委員会は再発防止策を公表した。
内部調査では、委員会を構成する民間放送事業者31社が関係者283人に聞き取りを実施。調査対象となった募金会場では、新たな着服などの不正事例は確認されなかったと報告している。
再発防止策には次の項目が含まれる。
1. 対面募金会場へのキャッシュレス募金導入。
2. 寄付金容器のシールによる封印。
3. 警備員または監視カメラの配置。
4. 現金の移動・保管を原則2人以上で実施。
5. 台帳による管理と外部専門業者への委託。
6. 不正通報窓口の設置とモニタリング調査。
さらに2026年1月15日、日本海テレビは元幹部社員に対する刑事裁判が終結し、着服された寄付金について、弁済された金額を24時間テレビチャリティー委員会に届けたと発表した。
つまり、着服事件への対応は進められている。
しかし、不正を防ぐ仕組みを整えたことと、視聴者の信頼が完全に回復したことは別問題だ。
信頼回復には、寄付金が誰に、どのような形で届いたのかを継続的に説明する必要がある。
【ひろゆきの廃止論】マラソンを続ける必要は本当にあるのか?
2026年9月4日、実業家のひろゆき(西村博之)氏が自身の公式YouTubeチャンネルで、24時間テレビのマラソンについて私見を述べた。
きっかけは、2026年の乱入騒動を受けて、今後の安全対策について尋ねられたことだった。
ひろゆき氏は、次のような考えを示した。
やめたら?チャリティーマラソン。
加えて、街中を走る必要性そのものに疑問を呈し、グラウンドを貸し切って走る方法を提案した。
この意見の要点は、マラソンという運動自体を否定することではない。
チャリティーという目的を達成するために、一般道路を長時間走る必要があるのかという問いかけだ。
ひろゆきの提案には合理性がある
公道を走る場合、警備や交通規制、沿道の混雑への対応が必要になる。
一方、競技場や専用施設を利用すれば、観客とランナーの動線を分離しやすくなり、不特定多数の人が突然接近するリスクも抑えられる。
また、施設内であれば、医療スタッフや救護設備を配置しやすいという利点もある。
もちろん、施設内を走ればすべての危険がなくなるわけではない。熱中症や脱水、疲労による事故は、場所を変えても起こり得る。
それでも、安全性を優先するなら検討する価値のある案だ。
チャリティーマラソンを続ける意義も無視できない
一方、マラソンの継続を支持する立場にも理由はある。
第一に、視聴者の関心を集める企画として長年定着していること。
第二に、ランナー本人の挑戦が、福祉や子ども支援などの社会課題を知るきっかけになること。
第三に、実際に目的別募金と連動し、具体的な寄付につながっていることだ。
2026年には、星野真里さんのマラソンに関連する子ども募金だけで4億円を超える金額が集まった。
この実績を踏まえると、マラソンをなくすことで失われる可能性のある支援効果も検討しなければならない。
ただし、4億円を集められたからといって、同じ募金額を集めるためにランナーが80キロを走らなければならないわけではない。
番組が本当に守るべきなのは、マラソンという形式ではなく、寄付を必要としている人に支援を届ける仕組みだ。
今後のマラソン継続を判断する5つの基準
2027年の第50回放送に向けて、マラソンを継続するなら、少なくとも以下の条件が必要だと考える。
① 暑さ指数に基づく中止基準を明確にする
気象条件やWBGTに応じて距離短縮や中止を判断できる体制が必要だ。
② ランナーと一般通行人の安全を分けて考える
出演者だけでなく、沿道の市民、スタッフ、交通利用者の安全も守らなければならない。
③ 不測の事態に備えた中継・警備体制を整える
乱入や事故が発生した場合、走行を中断する判断を含めた対応マニュアルが求められる。
④ 寄付金の使途を具体的に公開する
集まった金額だけでなく、支援先、支援内容、実際に届けられた成果まで説明することが重要だ。
⑤ マラソン以外の募金方法を充実させる
競技場でのチャリティーイベント、オンライン募金、福祉施設との連携など、複数の方法を用意すべきだ。
この5項目を満たせないのであれば、従来型の公道マラソンを継続する合理性は弱くなる。
【24時間テレビマラソン】よくある質問(FAQ)
Q1:24時間テレビのマラソンは2027年も開催されますか?
A1:2026年11月5日時点では未決定です。日本テレビは2026年9月14日の定例会見で、翌年以降の実施について決まっていないと説明しています。2027年は第50回の記念放送ですが、番組の開催準備とマラソンの実施決定は別です。
Q2:2026年の星野真里さんのマラソンでは何が起きましたか?
A2:2026年8月30日のゴール直前、番組批判のプラカードを持った男性が走行中の星野さんに接近する乱入騒動が発生しました。サポートランナーらが男性を遮り、星野さんは80キロを完走。日本テレビは9月14日の会見で、負傷者は出なかったと説明しました。
Q3:24時間テレビのマラソンはいつから始まりましたか?
A3:1992年の第15回放送からです。初代ランナーは間寛平さんで、当初は新潟から東京まで約200キロを走る計画でしたが、沿道の混雑などから153キロ地点で中止となりました。翌1993年には200キロを完走しています。
Q4:ひろゆきは24時間テレビのマラソンについて何と言いましたか?
A4:2026年9月、ひろゆき氏はマラソンの廃止を提案し、一般道路ではなく貸し切りのグラウンドで走ればよいという考えを示しました。安全対策だけでなく、公道を走る企画そのものの必要性を問う発言です。
Q5:2026年の24時間テレビの募金額はいくらですか?
A5:2026年10月26日の発表では、寄付金総額は15億5,436万6,256円です。そのうち、星野真里さんのマラソンに関連する「できた!を増やす子ども募金」は4億1,224万6,566円でした。いずれも2026年6月から9月までの集計に基づく暫定額で、最終確定は2027年7月初旬の予定です。
【プロの結論】マラソンをやめるべきか、それとも形を変えるべきか
「24時間テレビのマラソンはやめろ」という批判には、2026年の乱入騒動、猛暑による健康リスク、沿道の安全問題、過去の寄付金着服問題という、それぞれ異なる根拠がある。
一方で、2026年の子ども募金が4億円を超えたように、マラソンを通じて社会的支援につながる実績も存在する。
重要なのは、寄付の意義を理由に安全上の問題を軽視しないことだ。
個人的な編集上の評価としては、チャリティー活動は継続すべきだが、公道を長距離走する従来型のマラソンは、安全性を客観的に証明できない限り見直すべきだと考える。
2027年は24時間テレビの第50回という節目になる。日本テレビに求められるのは、伝統を守ることだけではない。
ランナーの健康、沿道の安全、募金の透明性、支援の実績を明確に示し、視聴者が納得できる形でチャリティーのあり方を再設計することだ。
マラソンを続けることが目的になってはならない。誰かのために支援を届けるという番組本来の目的こそ、これからも守られるべきである。
主な情報・報道資料
- 日本テレビ・2026年9月14日定例社長会見に関する報道
- 日本テレビ・2024年2月1日「今後の募金活動について」
- 24時間テレビチャリティー委員会・2026年10月26日寄付金総額発表
- 24時間テレビチャリティー委員会・2025年度寄付金報告
- 日本海テレビ・2026年1月15日着服事件に関する報告
- 日本スポーツ協会・熱中症予防運動指針
- 日刊スポーツ・歴代マラソンと2026年乱入騒動の報道
- スポニチアネックス・2026年9月のひろゆき氏の発言報道
参考資料の確認: