二所ノ関部屋の現在を把握するうえで、まず確認したいのが所属力士の番付だ。
2026年11月場所の番付は10月26日に発表された。日本相撲協会の部屋紹介ページに掲載されている情報では、二所ノ関部屋には幕内から序ノ口まで幅広い番付の力士が所属している。
2026年11月場所の主な所属力士
出典:日本相撲協会公式「相撲部屋のご紹介」。番付は2026年11月場所の掲載情報。
大の里は二所ノ関部屋初の看板横綱
大の里は石川県出身で、本名は中村泰輝。日本体育大学で活躍した後、2023年5月場所に初土俵を踏んだ。
その後の昇進は目覚ましい。
- 2023年5月:初土俵
- 2023年9月:新十両
- 2024年1月:新入幕
- 2024年11月:大関昇進
- 2025年7月:第75代横綱に昇進
特筆すべきなのは、2024年5月場所で幕内初優勝を達成したことだ。その後も優勝を重ね、2025年5月場所の14勝1敗で2場所連続優勝を達成。横綱昇進につなげた。
日本相撲協会の2026年11月場所時点の公式プロフィールでは、幕内優勝は通算6回となっている。
2026年9月場所でも12勝3敗で優勝しており、二所ノ関部屋の看板力士として存在感を示している。
白熊も注目したい所属力士
白熊は1999年生まれ、福島県須賀川市出身の力士だ。
2022年5月場所に初土俵を踏み、2023年9月場所に新十両へ昇進。2024年9月場所には幕内入りも経験した。
最高位は前頭十六枚目。2026年11月場所では西十両九枚目に位置している。
大の里が横綱として上位で戦う一方、白熊は再び幕内を目指す立場にある。部屋内でも異なる目標を持つ力士が切磋琢磨している点は、今後の注目材料だ。
【稀勢の里から現在まで】二所ノ関部屋の創設経緯と歴代力士
二所ノ関部屋の歴史を調べると、少し複雑な事情が見えてくる。
実は、現在の二所ノ関部屋と、横綱・大鵬らを輩出した旧二所ノ関部屋は、名称の歴史と部屋の運営主体を区別して理解する必要がある。
旧二所ノ関部屋は大鵬らを輩出した名門
旧二所ノ関部屋は、横綱・玉錦や昭和の大横綱・大鵬らを輩出した歴史ある相撲部屋だった。
そのほかにも、初代若乃花、玉の海、大関琴ヶ濱、関脇力道山など、相撲史に名を残す力士との関係がある。
しかし、師匠だった元関脇・金剛の体調問題などによって部屋の運営が困難となり、2013年1月場所を最後に閉鎖された。
その後、2014年12月に元大関・若嶋津の松ヶ根親方が年寄名跡「二所ノ関」を襲名。松ヶ根部屋が二所ノ関部屋へ改称され、伝統の名称が復活した。
稀勢の里が二所ノ関親方になるまで
現在の二所ノ関部屋につながる大きな転換点は、2021年だった。
元横綱・稀勢の里は2019年1月場所後に現役を引退。その後、田子ノ浦部屋で指導経験を積み、2021年8月に独立して荒磯部屋を創設した。
同年12月には年寄名跡を変更し、二所ノ関親方を襲名。2022年1月場所から荒磯部屋が二所ノ関部屋へと名称を変更した。
そして2022年6月5日、茨城県阿見町に新しい部屋を開設した。
二所ノ関部屋の歩みを年表で整理
この年表から分かるのは、現在の部屋が旧二所ノ関部屋の施設や師弟関係をそのまま引き継いだものではなく、荒磯部屋を起点として、伝統ある二所ノ関の名称を受け継いだ組織だということだ。
歴史上の玉錦・大鵬と、現在の稀勢の里・大の里を同じ部屋の直接的な師弟系譜として扱うのは正確ではない。名称の伝統と、現在の部屋の創設経緯は分けて理解したい。
【独自の育成環境】二所ノ関親方の指導方針と稽古の特徴
二所ノ関部屋の特徴は、伝統的な相撲の稽古に加えて、スポーツ科学や身体のコンディショニングを積極的に取り入れていることだ。
二所ノ関親方は、現役引退後に早稲田大学大学院スポーツ科学研究科で学び、2021年3月に修了している。
現役時代の経験だけに依存せず、学術的な知識も育成に生かそうとしている点が特徴的だ。
土俵2面を備えた稽古場
2022年6月に完成した施設には、主に次の設備がある。
- 土俵2面
- トレーニング室
- フリーウエイトなどのトレーニング機器
- 力士が生活する居住スペース
- 屋外の運動スペース
通常の相撲部屋では土俵が1面の施設も多いが、二所ノ関部屋では2面を用意している。
これは稽古の順番待ちを減らし、複数の力士が効率よく稽古できる環境をつくるためだ。
2022年の部屋開きに関する報道では、敷地は約1800坪と紹介され、力士が生活しやすい空間づくりにも重点が置かれていた。
栄養管理と身体のケア
新弟子募集の公式案内では、株式会社DNSによる栄養面のサポートが紹介されている。
具体的には、次のような取り組みだ。
- プロテインやサプリメントの提供
- 食事・栄養に関するレクチャー
- 力士ごとの栄養カウンセリング
- フリーウエイト機器を使った身体づくり
- 整骨院との提携による定期的な診療・治療
力士にとって体重や筋力の管理は、競技力だけでなく、長く土俵に立ち続けるための課題でもある。
稀勢の里自身も現役時代にけがと向き合ってきた力士だ。こうした経験を背景に、強さだけでなく、けがに強い身体づくりを掲げている。
【プロの結論】二所ノ関部屋の育成方針が持つ意味
注目したいのは、二所ノ関部屋が単に有望な選手を集めるだけでなく、力士の育成環境そのものを整備していることだ。
土俵を2面設けること、身体づくりを専門的に支援すること、栄養管理を取り入れることは、それぞれ独立した施策ではない。
稽古、休養、食事、身体のケアを一体的に考えることで、競技生活を支える仕組みを構築している。
大の里という横綱が誕生した現在、今後は一人のスター力士だけでなく、幕下以下の若手がどのように成長していくかも、部屋の育成力を測る重要な指標になる。
【所在地・アクセス】二所ノ関部屋は茨城県阿見町のどこにある?
二所ノ関部屋の所在地は、日本相撲協会と部屋の公式サイトで次のように案内されている。
なぜ阿見町に部屋を構えたのか
阿見町は、二所ノ関親方の出身地である茨城県牛久市に隣接する地域だ。
親方にとって地元に近い場所で後進を育成できることは、大きな意味を持つ。
阿見町の公式紹介によると、二所ノ関親方は2022年4月にあみ大使に就任し、同年6月から町内に二所ノ関部屋を開設した。
部屋の運営だけでなく、地元の学校や地域住民との交流、相撲の普及にも取り組む構想が示されている。
二所ノ関部屋の稽古見学はできる?
ここは訪問を考えている人が特に注意したい点だ。
二所ノ関部屋の公式お問い合わせページでは、稽古見学について次の条件を案内している。
- 後援会会員限定
- 日時指定制
- 見学会は随時開催
- 地方宿舎でも同様の扱い
つまり、一般の人が自由に訪問して稽古を見学できる施設ではない。
また、稽古場の収容人数に制限があるため、会員であっても事前に見学会の日時を確認する必要がある。
見学を希望する場合は、まず公式サイトのお問い合わせ窓口で開催予定や参加条件を確認するのが確実だ。
【後援会・新弟子募集】入会方法と力士になるための条件
二所ノ関部屋では、力士の育成を支援する後援会と、新たに角界を目指す若者の募集を行っている。
後援会の会費と特典
公式サイトでは、個人会員と法人会員の2種類が用意されている。
| 区分 | 会費 | 主な特典 |
|---|---|---|
| 個人会員 | 月額1,500円・1口 | 番付送付(東京場所のみ)、記念品 |
| 個人会員 | 月額3,000円・1口 | 番付、記念品、ちゃんこ会招待、カレンダー |
| 法人会員 | 年額10万円 | 番付、記念品、ちゃんこ会、法人パーティー |
| 法人会員 | 年額30万円 | 10万円コースの特典、継続記念品 |
| 法人会員 | 年額50万円 | 銘板・公式サイトへの掲載など |
| 法人会員 | 年額100万円 | 50万円コースの特典、企業のぼり掲載 |
| 法人会員 | 年額200万円 | 100万円コースの特典、企業訪問など |
個人会員の3,000円コースでは、ちゃんこ会への招待も用意されている。
また、稽古見学会やちゃんこ会への参加は会員特典に含まれる。複数口で加入した場合には、口数に応じた同伴が可能となる条件も設定されている。
なお、後援会は茨城県在住者に限定されていない。公式FAQでは、住所に関係なく入会できると案内されている。
新弟子募集の入門条件
二所ノ関部屋の公式募集ページでは、日本相撲協会が定める入門規定を掲載している。
| 項目 | 基本条件 |
|---|---|
| 性別・健康状態 | 義務教育を修了した健康な男子 |
| 身長 | 167cm以上 |
| 体重 | 67kg以上 |
| 年齢 | 23歳未満 |
ただし、3月場所の新弟子検査を受ける中学校卒業見込み者については、身長165cm以上、体重65kg以上という特例がある。
また、幕下・三段目付出が認められた場合や、指定された大学・社会人のアマチュア大会で一定の実績を残した場合などには、理事長の承認によって年齢制限が25歳未満まで緩和される。
相撲未経験でも入門できる?
二所ノ関部屋の公式FAQでは、相撲未経験者も入門可能と案内されている。
入門後には日本相撲協会の相撲教習所で半年間の研修を受け、相撲の基本を学ぶ仕組みがある。
加えて、部屋独自の育成環境として、栄養サポートやトレーニング機器も用意されている。
集団生活についても特徴がある。
一般的な相撲部屋の大部屋形式とは異なり、二所ノ関部屋では3人部屋の少人数制を採用している。プライベートを尊重しながら、先輩力士と生活を共にして学べる環境を目指している。
新弟子募集については、公式サイトの専用問い合わせフォームから相談できる。本人だけでなく、入門希望者の推薦も受け付けている。
【よくある質問】二所ノ関部屋の現在に関するFAQ
Q1:二所ノ関部屋の師匠は誰ですか?
A1:第72代横綱・稀勢の里です。引退後に荒磯部屋を創設し、2021年12月に二所ノ関を襲名しました。現在は二所ノ関寛として弟子の育成にあたっています。
Q2:2026年11月場所の二所ノ関部屋の横綱は誰ですか?
A2:大の里です。2025年7月場所に第75代横綱へ昇進し、2026年9月場所では自身6度目の幕内優勝を達成しました。
Q3:白熊は二所ノ関部屋の所属力士ですか?
A3:はい。白熊(本名・高橋優太)は二所ノ関部屋所属で、2026年11月場所は西十両九枚目です。
Q4:二所ノ関部屋はどこにありますか?
A4:茨城県稲敷郡阿見町荒川本郷139-1です。JRひたち野うしく駅から徒歩約10分、つくば牛久ICから車で約10分です。
Q5:二所ノ関部屋の稽古見学は無料でできますか?
A5:一般向けの自由見学は実施されていません。公式案内では後援会会員限定の日時指定制となっています。参加条件や開催日は事前に問い合わせてください。
Q6:二所ノ関部屋の後援会はいくらですか?
A6:個人会員は月額1,500円または3,000円のコースがあります。法人会員は年額10万円から200万円まで設定されています。
Q7:二所ノ関部屋に相撲未経験でも入門できますか?
A7:可能です。公式FAQでも未経験者を受け入れる方針が示されています。日本相撲協会の入門規定を満たし、入門後の研修や部屋での指導を受けることになります。
まとめ:二所ノ関部屋の今後は大の里に続く次世代の育成が焦点
2026年11月現在の二所ノ関部屋は、元横綱・稀勢の里が師匠を務め、大の里という第75代横綱を擁する相撲部屋だ。
白熊をはじめ、幕下以下にも多くの力士が所属しており、それぞれが異なる番付と目標を持って稽古に励んでいる。
特に注目すべき要点は次の4つだ。
1. 横綱・大の里の活躍: 2026年9月場所で6度目の幕内優勝を達成。
2. 白熊ら若手の成長: 次の幕内力士を生み出せるかが注目される。
3. 独自の育成環境: 2面の土俵、スポーツ科学、栄養管理を組み合わせた指導。
4. 地域とのつながり: 阿見町を拠点に相撲文化の普及や後援会活動を展開。
旧二所ノ関部屋が持つ歴史的な名声と、稀勢の里が新たに築いた育成組織。その両方を理解すると、現在の二所ノ関部屋が持つ意味がより明確になる。
大の里の横綱としての活躍だけでなく、次世代の関取や横綱がこの阿見町の稽古場から生まれるのか。今後の二所ノ関部屋を追ううえでは、所属力士全体の成長にも注目したい。