日本には、クラシック音楽から映画音楽、アニメ、ポップス、電子音楽まで、世界の音楽史に足跡を残してきた作曲家が数多く存在する。久石譲、坂本龍一、武満徹、冨田勲といった巨匠はもちろん、菅野よう子や梶浦由記など、映像作品を通じて国内外の幅広い世代に支持される作曲家もいる。日本人作曲家の魅力は、単に美しいメロディーを生み出すことだけではない。西洋の音楽理論、日本の伝統的な音色、電子技術、映像表現を融合させ、独自の音楽世界を築いてきた点にある。
2026年11月現在、特に注目したいのは久石譲の国際的な活動だ。2026年10月23日には、2027/28シーズンからロサンゼルス・フィルハーモニックのコンポーザー・イン・レジデンスに就任することが公式発表された。一方、坂本龍一や武満徹、冨田勲らの作品も、現代の演奏家や映画・音楽ファンによって受け継がれている。この記事では、日本の歴代作曲家から現役世代までを分野別に整理し、代表作品、受賞歴、海外評価、音楽的な違いを解説する。
【まず押さえたい】日本の有名作曲家とは?歴代の巨匠と代表的な人物
日本の有名作曲家を理解するうえで大切なのは、作曲家という肩書きだけで一括りにしないことだ。交響曲や歌曲を中心に創作する人、映画の映像表現を音楽で支える人、アニメの世界観を構築する人、ポップスや電子音楽で新しいサウンドを開拓する人では、求められる技術も作品の役割も異なる。
日本の作曲家の歴史を振り返ると、明治時代の西洋音楽受容から戦後の現代音楽、テレビ・映画産業の発展、そして世界的なアニメ文化の広がりまで、社会や技術の変化と密接に結び付いている。
日本の歴代作曲家を代表する人物
滝廉太郎(1879〜1903年)は、近代日本歌曲の基礎を築いた人物として知られる。代表作は「荒城の月」「花」「お正月」など。23歳という若さで亡くなったが、西洋音楽の技法を取り入れながら、日本語の響きを生かした歌曲を残した。
山田耕筰(1886〜1965年)は、日本の近代音楽を発展させた作曲家・指揮者である。「赤とんぼ」「からたちの花」などの歌曲で広く知られ、日本語の歌詞と旋律の結び付きを追求した。ベルリンで作曲を学び、帰国後はオーケストラの創設やオペラの普及にも尽力。1956年には文化勲章を受章している。
伊福部昭(1914〜2006年)は、クラシックと映画音楽の両分野に大きな足跡を残した作曲家だ。代表作の「シンフォニア・タプカーラ」に加え、映画『ゴジラ』の音楽によって日本映画史にも名を刻んだ。北海道で接したアイヌの伝承音楽や民謡が、独自のリズム感や音楽的発想に影響を与えている。
こうした先人たちの活動が、戦後の武満徹や坂本龍一、さらに久石譲や現代の映像音楽作曲家へと続く、日本の作曲文化の土台になった。
【クラシック・現代音楽】武満徹・山田耕筰・滝廉太郎の代表作品と功績
日本のクラシック作曲家を語る際、欠かせないのが武満徹である。彼は西洋の現代音楽の技法を取り入れながら、日本の伝統楽器や自然観を独自の音響表現へと昇華させた。単純な和風音楽ではなく、国際的な現代音楽の潮流の中で日本独自の表現を確立したことが大きな功績だ。
武満徹:日本の音を世界の現代音楽へ
1930年に東京で生まれた武満徹は、ほぼ独学で作曲を学び、1951年には芸術家グループ「実験工房」の結成に参加した。
大きな転機となったのは、1957年に発表した「弦楽のためのレクイエム」である。来日したイーゴリ・ストラヴィンスキーが作品を高く評価したことで、武満の名前は国際的に知られるようになった。
1967年には、レナード・バーンスタインからニューヨーク・フィルハーモニー交響楽団の創立125周年記念作品を委嘱され、「ノヴェンバー・ステップス」を発表。琵琶と尺八をオーケストラと組み合わせるという大胆な試みは、世界の音楽界に大きな印象を残した。
代表作品には次のようなものがある。
- 「弦楽のためのレクイエム」(1957年)
- 「ノヴェンバー・ステップス」(1967年)
- 「遠い呼び声の彼方へ!」(1980年)
- 「鳥は星形の庭に降りる」
受賞歴も国際的だ。1994年には「ファンタズマ/カントス」によりルイヴィル大学グロマイヤー作曲賞を受賞。1996年にはグレン・グールド賞も受賞している。1996年2月20日に65歳で亡くなった後も、作品は世界各地で演奏され続けている。
山田耕筰:日本語歌曲の表現を確立
山田耕筰の特徴は、日本語のアクセントや言葉の響きを旋律に生かしたことにある。「赤とんぼ」は、その代表例だ。日本人にとって自然に感じられる歌の流れを追求し、歌曲だけでなく交響曲やオペラの分野にも挑戦した。
ベルリンで学んだ経験を日本の音楽教育や演奏文化に還元したことも重要である。単に優れた作品を残しただけでなく、日本における西洋音楽の普及と演奏環境の整備にも貢献した。
滝廉太郎:日本の近代歌曲の出発点
滝廉太郎は短い生涯ながら、日本の音楽教育や歌曲の歴史に大きな影響を与えた。「荒城の月」は、現在も学校教育や合唱、演奏会などで親しまれている。
山田耕筰が日本歌曲をさらに発展させた人物だとすれば、滝廉太郎はその重要な出発点を築いた人物と位置付けられる。
【映画音楽】久石譲・坂本龍一・冨田勲・伊福部昭の代表作を解説
日本人作曲家の海外評価を考えるとき、映画音楽は特に重要な分野である。映画は国境を越えて上映されるため、音楽が作品の印象とともに世界中へ広がる。日本の映画音楽作曲家は、映像に寄り添う技術だけでなく、独立したコンサート作品としても成立する音楽を生み出してきた。
久石譲:映画音楽とクラシックをつなぐ現役の巨匠
久石譲(1950年生まれ)は、映画音楽、指揮、ピアノ演奏、現代音楽の作曲など、幅広い分野で活動する日本を代表する作曲家である。
1981年に「MKWAJU」を発表し、翌年のアルバム「INFORMATION」でソロアーティストとしての活動を本格化させた。ミニマル・ミュージックへの関心を出発点とし、反復するリズムやシンプルな音型を組み合わせながら、印象的な旋律を構築するスタイルを確立している。
代表的な仕事は、宮崎駿監督作品との長年にわたる協働だ。1984年の『風の谷のナウシカ』を皮切りに、スタジオジブリ作品11作品の音楽を担当している。
主な代表作は以下の通り。
- 『風の谷のナウシカ』
- 『天空の城ラピュタ』
- 『となりのトトロ』
- 『魔女の宅急便』
- 『もののけ姫』
- 『千と千尋の神隠し』
- 『HANA-BI』
- 『おくりびと』
「Summer」や「One Summer's Day」「人生のメリーゴーランド」なども、映画の枠を越えて親しまれている楽曲だ。
映画音楽の評価にとどまらず、久石はクラシック音楽の指揮者・作曲家としても活動を拡大している。2019年には「久石譲 ベートーヴェン:交響曲全集」で第57回レコード・アカデミー賞特別部門特別賞を受賞。2009年には紫綬褒章を受章した。
2025年にはロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団を指揮してBBCプロムスにデビュー。2025年10月にはフィラデルフィア管弦楽団のComposer-in-Residenceに就任した。
2026年10月23日には、ロサンゼルス・フィルハーモニックのコンポーザー・イン・レジデンス就任も発表された。任期は2027/28シーズンから2031/32シーズンまでの5年間。さらに2026年にはフィルハーモニー・ド・パリのComposer in Associationへの就任も発表されている。
こうした活動は、久石譲が「ジブリ映画の作曲家」という枠を越え、国際的なオーケストラの創作活動にも深く関わる存在になっていることを示している。
坂本龍一:映画音楽と電子音楽の世界的先駆者
坂本龍一(1952〜2023年)は、作曲家、ピアニスト、音楽プロデューサーとして世界的な評価を獲得した音楽家である。
1978年にソロアルバム「千のナイフ」を発表。同年、細野晴臣、高橋幸宏とともにYMO(イエロー・マジック・オーケストラ)を結成した。電子楽器やシンセサイザーを積極的に取り入れ、テクノポップを国際的に広めた功績は大きい。
映画音楽では、大島渚監督の『戦場のメリークリスマス』が代表作。印象的なピアノの旋律は映画を知らない世代にも広く親しまれている。
加えて、ベルナルド・ベルトルッチ監督の『ラストエンペラー』では、デヴィッド・バーン、コン・スーとともに音楽を担当。1988年のアカデミー賞作曲賞を受賞した。英国アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、グラミー賞などでも評価されている。
代表的な作品・楽曲には「千のナイフ」「戦場のメリークリスマス」「energy flow」「async」などがある。映画音楽、ポップス、現代音楽、インスタレーションと、活動領域を限定しなかったことも特徴だ。
2023年3月28日に亡くなったが、2024年12月から2025年3月に東京都現代美術館で開催された大規模展覧会は、同館30年の歴史で最多の来場者数を記録した。音楽家としてだけでなく、現代美術や思想の領域にも影響を与えた存在である。
冨田勲:シンセサイザー音楽を世界へ広めた先駆者
冨田勲(1932〜2016年)は、日本の電子音楽史を語るうえで欠かせない作曲家だ。
1970年代からシンセサイザーによる作編曲と演奏に取り組み、1974年にはアルバム「月の光」を米RCAから発売。米ビルボードのクラシカル・チャートで1位を獲得し、日本人として初めてグラミー賞4部門にノミネートされた。
代表作は、ドビュッシー作品をシンセサイザーで再構築した「月の光」、ホルストの組曲を電子音響で表現した「惑星」、オーケストラや邦楽器を組み合わせた「源氏物語幻想交響絵巻」など。
また、アニメ『ジャングル大帝』や『リボンの騎士』の音楽も担当しており、映像音楽の歴史にも貢献している。
2011年度には朝日賞を受賞。2012年には初音ミクをソリストに起用した「イーハトーヴ交響曲」を世界初演し、電子音楽とクラシック、デジタル文化を結び付けた。
伊福部昭:日本映画の音楽的アイデンティティーを築いた人物
伊福部昭は、映画『ゴジラ』のテーマによって広く知られているが、もともとは本格的なクラシック作曲家でもある。
1935年には「日本狂詩曲」がチェレプニン賞の第1位に入選。その後、映画音楽にも進出し、『ゴジラ』をはじめとする特撮映画や多数の映画作品を担当した。映画音楽の担当作品は300本を超えるとされる。
伊福部の音楽は、力強いリズム、重厚な管弦楽、民族音楽から着想を得た旋律が特徴だ。特撮映画の迫力を支える一方、演奏会用の交響作品でも独自の存在感を示している。
【アニメ・ポップス】菅野よう子・梶浦由記・YOSHIKIの音楽的魅力
日本のアニメ音楽は、作品の人気とともに海外へ広がった。映像に合わせた劇伴だけでなく、サウンドトラック単体のアルバムやコンサートも評価されるようになり、作曲家自身の名前が世界中のファンに知られるようになっている。
菅野よう子:ジャンルを横断する音楽プロデューサー
菅野よう子は、アニメ、映画、ドラマ、CM、ゲーム、ポップスなど、幅広い領域で活動する作曲家・音楽プロデューサーである。
代表作には『カウボーイビバップ』『マクロスF』『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』『創聖のアクエリオン』などがある。
特に『カウボーイビバップ』の音楽は、ジャズ、ブルース、ロックなどの要素を自在に組み合わせた作品として高い評価を獲得した。音楽を担当したバンド、シートベルツの演奏活動も話題となった。
受賞歴では、第13回日本ゴールドディスク大賞や東京アニメアワードの音楽賞5回受賞などが挙げられる。また、NHK東日本大震災復興支援ソング「花は咲く」や、2019年の天皇陛下御即位奉祝曲「Ray of Water」も手掛けた。
菅野の強みは、特定のジャンルに依存しない音楽性だ。作品ごとに音楽の方向性を大きく変えられるため、アニメ以外の映像作品やポップスの分野でも高く評価されている。
梶浦由記:壮大な旋律と独自のコーラスワーク
梶浦由記は、作詞・作曲・編曲を手掛ける音楽コンポーザー。1993年にSee-Sawのメンバーとしてデビューした。
現在はアニメを中心とした劇伴音楽を多数制作しており、代表作には『魔法少女まどかマギカ』『ソードアート・オンライン』『Fate/Zero』『鬼滅の刃』などがある。
クラシックや民族音楽を取り入れた壮大なサウンド、重層的なコーラス、印象に残る旋律が特徴だ。特に物語の緊張感や登場人物の心情を音楽で表現する能力に定評がある。
また、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』の主題歌「炎」では、LiSAとの共作で作詞・作曲を担当。同楽曲は第62回日本レコード大賞を受賞した。アニメ音楽の枠を越え、一般の音楽ファンにも広く知られる存在となっている。
YOSHIKI:ロックとオーケストラを融合させる作曲家
YOSHIKIは、X JAPANのリーダーとして知られる作曲家・音楽家である。ピアノとドラムを担当し、ロックの表現にクラシック音楽の要素を取り入れてきた。
代表的な楽曲には「ENDLESS RAIN」「ART OF LIFE」「Forever Love」などがある。繊細なピアノ旋律と壮大なオーケストラ、激しいロックサウンドを融合させる作風が特徴だ。
天皇陛下御即位十年記念式典の奉祝曲やハリウッド映画のテーマ曲を手掛けたほか、ゴールデングローブ賞の公式テーマ曲も作曲。2025年にはサウジアラビアの世界遺産ヘグラで公演を開催するなど、海外での活動も続けている。
アニメ音楽とは異なる経路ではあるものの、日本人作曲家がポップスやロックを通じて国際的な聴衆を獲得した代表例といえる。
【比較表】日本の有名作曲家の代表作・受賞歴・音楽的特徴一覧
ここまで紹介した人物を、代表作品、主な活動分野、評価の観点から整理した。作曲家の知名度は、作品の販売実績だけでなく、音楽史への貢献や国際的な賞、演奏機会などによっても異なる。
| 作曲家 | 主な分野 | 代表作品・楽曲 | 主な実績・評価 |
|---|---|---|---|
| 滝廉太郎 | 歌曲・クラシック | 荒城の月、花 | 近代日本歌曲の基礎を築く |
| 山田耕筰 | 歌曲・交響曲・オペラ | 赤とんぼ、からたちの花 | 文化勲章受章、日本の近代音楽の発展に貢献 |
| 武満徹 | 現代音楽・映画音楽 | 弦楽のためのレクイエム、ノヴェンバー・ステップス | グロマイヤー作曲賞、グレン・グールド賞など |
| 伊福部昭 | クラシック・映画音楽 | シンフォニア・タプカーラ、ゴジラ | チェレプニン賞第1位、文化功労者 |
| 冨田勲 | 電子音楽・映画・アニメ | 月の光、惑星、ジャングル大帝 | グラミー賞4部門ノミネート、朝日賞 |
| 坂本龍一 | 映画音楽・電子音楽・ポップス | 千のナイフ、戦場のメリークリスマス、energy flow | アカデミー賞、英国アカデミー賞、グラミー賞など |
| 久石譲 | 映画音楽・クラシック | となりのトトロ、千と千尋の神隠し、Summer | 日本アカデミー賞、紫綬褒章、海外主要オーケストラとの活動 |
| 菅野よう子 | アニメ・映画・ポップス | カウボーイビバップ、マクロスF | 日本ゴールドディスク大賞、東京アニメアワード音楽賞5回 |
| 梶浦由記 | アニメ・映画・ポップス | 鬼滅の刃、Fate/Zero、魔法少女まどかマギカ | 日本レコード大賞、JASRAC賞など |
| YOSHIKI | ロック・ポップス・オーケストラ | ENDLESS RAIN、Forever Love、ART OF LIFE | ゴールデングローブ賞公式テーマ曲など国際的活動 |
この比較から分かるのは、同じ日本人作曲家でも、世界的な評価を得るまでの経路が大きく異なることだ。武満徹は現代音楽の芸術性、坂本龍一は映画音楽と電子音楽の革新性、久石譲は映画音楽からオーケストラ作品への展開によって、それぞれ異なる国際的な地位を築いた。
【海外評価を検証】日本人作曲家はなぜ世界で評価されるのか?
日本人作曲家の海外評価を考えるとき、アカデミー賞やグラミー賞などの受賞歴は分かりやすい指標となる。しかし、賞の数だけで音楽家の価値を判断することはできない。現代音楽の作曲家と映画音楽の作曲家では、評価される仕組みそのものが異なるからだ。
1. 国際的な賞やコンクールでの評価
坂本龍一の『ラストエンペラー』におけるアカデミー賞作曲賞受賞は、日本人作曲家の映画音楽が国際的に認められた象徴的な出来事である。
武満徹も、グロマイヤー作曲賞やグレン・グールド賞などを通じて、現代音楽の分野で高い評価を得た。冨田勲はグラミー賞へのノミネートと米国でのアルバム成功によって、日本の電子音楽の可能性を世界に示した。
このように、受賞歴を比較する場合は、映画賞、音楽賞、現代音楽の作曲賞を分けて見ることが大切だ。
2. 日本独自の音楽表現が国際的な魅力になる
武満徹が琵琶や尺八をオーケストラと組み合わせたように、日本の作曲家は伝統的な音楽文化を現代的な表現へと変換してきた。
伊福部昭の民族音楽的なリズム、久石譲のミニマルな反復と叙情性、坂本龍一の電子音楽と環境音への関心なども、それぞれ異なる方法で独自性を生み出している。
海外で評価される日本人作曲家に共通するのは、単純に日本らしい旋律を使うことではない。異なる文化の聴衆にも伝わる音楽的な普遍性と、他の作曲家にはない個性を両立させている点だ。
3. 映画・アニメ・ゲームが海外への入口になる
映画やアニメは、作曲家の音楽を世界中の人々に届ける強力な媒体である。久石譲のジブリ作品、菅野よう子の『カウボーイビバップ』、梶浦由記の『鬼滅の刃』などは、映像と音楽が一体となって国際的なファンを獲得した事例だ。
特にサウンドトラックは、映像を見たことがない人にも音楽単体で楽しめる。作品の海外配信やコンサートの開催が増えることで、作曲家の知名度も国境を越えて広がる。
久石譲が映画音楽の成功を足掛かりに、欧米の主要オーケストラとの共同制作や指揮活動を展開していることは、その好例である。
4. 2026年の最新動向:久石譲の国際的な活動拡大
2026年の大きなニュースは、久石譲のロサンゼルス・フィルハーモニックにおけるコンポーザー・イン・レジデンス就任発表だ。
2027/28シーズンから2031/32シーズンまでの5年間にわたり、新作の委嘱、レコーディング、地域との連携事業などに取り組む予定となっている。
また、2025年10月からフィラデルフィア管弦楽団のComposer-in-Residenceを務め、2026/27シーズンからはフィルハーモニー・ド・パリのComposer in Associationとしても活動する。
映画音楽の作曲家が、世界的なオーケストラの創作活動の中心に迎えられることには大きな意味がある。日本の映像音楽が持つ知名度を、クラシック音楽の新作や演奏文化へとつなげる動きだからだ。
【プロの結論】日本の有名作曲家を比較するときの選び方と聴くべき代表作
日本の有名作曲家を比較するなら、単純な人気ランキングよりも「どのような音楽体験を求めるか」で選ぶほうが、それぞれの魅力を理解しやすい。
映画の感動や美しい旋律を楽しみたい人
最初に聴きたいのは久石譲だ。『となりのトトロ』『天空の城ラピュタ』『千と千尋の神隠し』などから入れば、映画音楽の持つ親しみやすさと、オーケストラ作品としての完成度を同時に味わえる。
電子音楽や現代的なサウンドに興味がある人
坂本龍一と冨田勲がおすすめだ。坂本の「千のナイフ」や「async」は、電子音楽が持つ実験性や音響表現を理解する入口になる。冨田の「月の光」や「惑星」は、シンセサイザーが生み出す音の可能性を体験できる。
芸術性の高いクラシック音楽を聴きたい人
武満徹の「弦楽のためのレクイエム」や「ノヴェンバー・ステップス」を聴いてほしい。旋律の分かりやすさよりも、音の余白、響きの変化、楽器同士の関係に注目すると、作品の奥深さが見えてくる。
アニメ音楽の世界を深く楽しみたい人
菅野よう子と梶浦由記を聴き比べると面白い。菅野はジャズやロック、ファンクなどのジャンルを自由に組み合わせるスタイル。梶浦は壮大な旋律やコーラスを生かし、物語の感情を強く印象付けるスタイルが特徴だ。
作曲家を評価する際に確認したい3つの基準
- 作品の独自性:他の作曲家にはない旋律、和声、リズム、音響表現を持っているか。
- 活動領域:映画、アニメ、クラシック、ポップスなど、どの分野で実績を築いたか。
- 長期的な影響力:作品が後世の演奏家や作曲家に受け継がれ、現在も演奏・鑑賞されているか。
注意したいのは、受賞数が少ない作曲家を低く評価しないことだ。映画音楽のヒットと現代音楽の作曲賞では、評価の基準が違う。商業的な人気、芸術的な革新性、文化への影響を分けて比較することが、正確な理解につながる。
【有名な日本人作曲家】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:日本で最も有名な作曲家は誰ですか?
A1:分野によって異なるが、一般的な知名度では久石譲や坂本龍一が代表的な存在だ。クラシック・現代音楽では武満徹、アニメ音楽では菅野よう子や梶浦由記なども高く評価されている。単一の公式ランキングは存在しない。
Q2:海外で最も評価されている日本人作曲家は誰ですか?
A2:評価基準によって異なる。アカデミー賞作曲賞を受賞した坂本龍一、現代音楽の分野で国際的な賞を受賞した武満徹、世界の主要オーケストラで指揮・作曲活動を展開する久石譲などが代表例だ。
Q3:久石譲の代表曲・代表作は何ですか?
A3:『風の谷のナウシカ』『となりのトトロ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』などの映画音楽が代表的。「Summer」「One Summer's Day」「人生のメリーゴーランド」も広く親しまれている。
Q4:坂本龍一の代表曲には何がありますか?
A4:「千のナイフ」「戦場のメリークリスマス」「energy flow」などが代表的。映画『ラストエンペラー』の音楽も重要な作品で、1988年のアカデミー賞作曲賞を受賞している。
Q5:武満徹の代表作品は何ですか?
A5:「弦楽のためのレクイエム」「ノヴェンバー・ステップス」「遠い呼び声の彼方へ!」などが代表作。日本の伝統楽器と西洋オーケストラを融合した独自の音楽表現で知られる。
Q6:日本のアニメ音楽で有名な作曲家は誰ですか?
A6:菅野よう子、梶浦由記などが代表的。菅野は『カウボーイビバップ』『マクロスF』、梶浦は『鬼滅の刃』『魔法少女まどかマギカ』『ソードアート・オンライン』などの音楽を担当している。
Q7:2026年現在、海外で活動する日本人作曲家は誰ですか?
A7:久石譲が代表的だ。2026年10月にはロサンゼルス・フィルハーモニックのコンポーザー・イン・レジデンスへの就任が発表され、2027/28シーズンから5年間の活動が予定されている。
まとめ:日本の有名作曲家は音楽のジャンルを越えて世界へ
日本の有名作曲家の歴史を振り返ると、滝廉太郎や山田耕筰による近代歌曲の確立、武満徹による現代音楽の国際的な発展、冨田勲による電子音楽の開拓、伊福部昭による映画音楽の革新、坂本龍一による電子音楽と映画音楽の融合、久石譲による映画音楽とオーケストラ文化の架橋など、時代ごとに異なる挑戦が積み重なっている。
また、菅野よう子や梶浦由記のように、アニメ音楽を通じて海外の聴衆を獲得した作曲家もいる。日本の作曲文化は、クラシックとポップス、伝統と電子技術、映像と演奏会という境界を越えながら発展してきた。
2026年の注目点は、久石譲の海外オーケストラとの協働がさらに拡大していることだ。2027年以降のロサンゼルス・フィルでの活動は、日本の映画音楽作曲家が国際的なクラシック音楽の創作現場でも存在感を発揮する新たな機会になる。
作曲家を知る最良の方法は、肩書きや受賞歴だけで判断せず、実際に作品を聴き比べることだ。旋律の美しさを楽しむなら久石譲、音響の革新性を味わうなら坂本龍一や冨田勲、芸術的な深みを求めるなら武満徹、物語と音楽の融合を楽しむなら菅野よう子や梶浦由記。それぞれの代表作から聴き始めることで、日本人作曲家が世界に残してきた豊かな音楽的遺産が見えてくる。
主な参照資料: 久石譲公式サイト、ソニーミュージック、ユニバーサルミュージック、坂本龍一公式プロフィール掲載資料、日本コロムビア、ショット・ミュージック、国立国会図書館、FlyingDog、ソニーミュージック、文化庁など。